【中国】出稼ぎ者に帰省前倒しの動き[経済](2021/01/13)

5c4d0385 4daa 4366 8570 1b0e9825c01d

中国各地で冬季に入り新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)が発生していることを受け、春節(旧正月、今年は2月12日)期間に移動制限が敷かれることを警戒し、メーカー従業員が帰省を前倒しする動きが出ているもようだ。製造業の景気が回復する中、生産の重要な担い手となっている出稼ぎ労働者(農民工)の不足問題に拍車がかかることも懸念される。

各地では春節の大規模な人の移動により新型コロナの感染が拡大することを防ぐため、他地域から来ている労働者に対し今年は帰省せず、勤務地で春節を送るよう呼び掛ける動きが強まっている。帰省に際してはPCR検査の陰性証明の取得を義務付ける地方もある。

一方で「それでも春節には帰省したい」という労働者も多く、このような人たちの間では今後さらに厳しい移動制限が敷かれることを警戒し、前倒しで帰省する動きが出ているという。

12日付第一財経日報が伝えたところによると、浙江省のアパレルメーカーである延ビ創智(浙江)服飾(ビ=金へんに美)の幹部は、他地域から出稼ぎに来ている従業員の60%が既に今月15日以降の高速鉄道の切符を購入し、前倒しで帰省する準備を進めていると明らかにした。同社では海外からの受注が好調で、現在は連日、残業体制で生産を増やしている状況。春節前後に労働力が不足し、受注増に対応できなくなることに不安を強めている。

浙江省の紡織製品メーカーである諸曁航豊針紡織では、本来の春節休暇は1月下旬から始まるが、約半数の他地域出身従業員が15日に帰省することを計画している。新型コロナ感染状況の急激な変化や、春節時期に鉄道の臨時便が増発されず、切符を入手できなくなることを警戒しているという。江蘇省の繊維メーカー、蘇州呉江易達噴織も、出稼ぎ者の多くが例年より前倒しで帰省すると明らかにした。

■帰省しない従業員に現金手当

地方政府による呼び掛けもあり、企業の間では春節に帰省せず勤務地で過ごす従業員に対して、福利厚生を手厚くする動きが出ている。

延ビ創智(浙江)服飾では、春節に勤務地にとどまる他地域出身の従業員に対し、1,000元(約1万6,000円)の手当や、帰省交通費相当の補償金を支給する。ほか会社で旧暦大みそかの食事会(年夜飯)を開いたり、春節期間中に浙江省内の観光ツアーを実施するなど、さまざまな引き留め策を準備している。帰省しない従業員には昇格の機会を増やす人事措置も導入する。

浙江省のバルブメーカーである浙江迪艾智控科技は、企業所在地の諸曁市にとどまる他地域出身者に対し、1,000元を支給する。ほか2月1~18日に出勤する従業員に対しては、法定休日出勤手当とは別に、給与を通常より1.5倍に増額して支払う。同社では各種引き留め策により、賃金コストが100万元以上増えると試算している。

他地域出身者の引き留め策は、地方政府が実施するケースもある。浙江省政府が11日発表したところによると、同省紹興市は帰省しない労働者を対象に国有観光地を無料で開放する。寧波市政府によると、同市もスポーツ施設や博物館、美術館に無料で入場できるようにする。

一部地方政府は企業に対し、従業員の引き留め策をはじめとする春節時期の生産体制維持に向けたコストを補助する。寧波市は市内の企業へ従業員の春節休暇をずらして取得させるよう呼び掛けているほか、原材料や部品を事前に確保するよう指示。年産規模が1億元を超える製造企業を対象に、2021年第1四半期(1~3月)の生産額が20年第3四半期(7~9月)、第4四半期(10~12月)を上回ることを条件に、10万元の一時補助を支給する。紹興市も同様の補助金を計画している。

■春節明けの離職にも懸念

一方で企業の中には、早くも帰省した従業員が春節明けに職場復帰しないことを危惧するところもある。

浙江迪艾智控科技の幹部は、春節期間に従業員が帰省することよりも、帰省した従業員が春節明けに復帰しないことの方が心配だと説明する。同社では帰省地に専用バスを派遣するなどし、従業員のスムーズな職場復帰に向けた準備を進める。諸曁航豊針紡織の幹部も「従業員が前倒しで帰省することは構わないが、職場に戻ってこないことは心配」と指摘している。

20年前半は全国各地で新型コロナが猛威を振るう中、他地域への移動制限や感染リスクへの恐れから、春節時に帰省した農民工の職場復帰が遅れた。人事社会保障省(人保省)によると、農民工の数が前年同期の水準にまで回復したのは6月末になってからだった。

20年の春節明けには、帰省した労働者がスムーズに職場へ戻ることができるよう、各地で専用列車が運行された=20年2月24日、陝西省西安市(新華社)

20年の春節明けには、帰省した労働者がスムーズに職場へ戻ることができるよう、各地で専用列車が運行された=20年2月24日、陝西省西安市(新華社)

関連記事

アクセスランキング

  • DAILY
  • WEEKLY
  • MONTHLY

公式Facebookページ

公式Twitterアカウント