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【フィリピン】完成車に輸入制限発動へ[車両](2021/01/06)

フィリピン貿易産業省は4日、乗用車と小型商用車(LCV)の完成車(CBU)に対して緊急輸入制限(セーフガード)を発動する方針を発表した。輸入の急増が国内生産に重大な損害を与えていると判断し、保護する考えを示した。新型コロナウイルスの影響で新車販売は落ち込んでおり、自動車業界はさらなる苦境に陥るリスクが高まっている。

1台当たりの関税額は乗用車が7万ペソ(約15万円)、小型商用車が11万ペソを想定している。関税委員会が向こう数週間で正式な調査を始め、ロペス貿易産業相に調査結果を提出する。セーフガード発動が決定すれば、関税局長官の命令から200日以内に適用される。

ロペス氏は、暫定的な制限措置について、競合モデルの輸入急増に直面している国内産業を保護することが目的と説明。国内企業の費用対効果を高め、技術向上にも貢献するとの見方を示した。

自動車や鉄鋼・電子部品産業の労働組合であるフィリピン金属加工業者連盟(PMA)は2019年、完成車の輸入が14~18年にかけて急増し、国内業界を圧迫しているなどとして、政府にセーフガードの発動を要請した。これを受けて、貿産省は20年2月に初期調査を開始した。

同省の調査結果によると、14~18年の乗用車の輸入は年平均で35%増加。18年には輸入車両の数が現地生産車両に比べて4.5倍になった。一方、小型商用車の輸入は14~18年で3倍に拡大し、18年には輸入が現地生産を15倍近く上回った。18年の輸入車の市場シェアは、乗用車が70%以上、小型商用車が93%だった。

トヨタ自動車の広報担当者はNNAに対し、詳細は控えるとした上で「貿易活動に制限を加える方策は、自動車産業全体に悪影響をもたらす恐れがある」と指摘。影響を最小化するため、迅速に解決に向かうことを望むと話した。

フィリピン自動車工業会(CAMPI)とトラック製造業者協会(TMA)によると、20年1~11月の新車販売台数は、前年同期比41.6%減の19万6,197台だった。セーフガードが発動されれば、新型コロナの影響で冷え込んだ自動車業界にさらなる追い打ちを掛ける恐れがある。

フィリピン政府は完成車に対して緊急輸入制限を発動する方針を示した=マニラ首都圏(NNA撮影)

フィリピン政府は完成車に対して緊急輸入制限を発動する方針を示した=マニラ首都圏(NNA撮影)

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