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【インドネシア】富裕層資産は微減、フォーブス最新長者番付[経済](2020/12/15)

米経済誌フォーブス系列のフォーブス・インドネシアは最新の国内長者番付トップ50を公表し、今年調査時の総資産額の合計が前年比で1.2%減にとどまったと明らかにした。

同誌によると、今年の長者50人は「約半数が新型コロナウイルス感染症の流行によって資産額を目減りさせた」ものの、その資産額の合計は約1,330億米ドル(約13兆8,000億円)で、前年の1,346億米ドルと比べると1.2%減にとどまった。規模ではインドネシアの国内総生産(GDP)の48%を上回り、来年度の国家予算の72%に相当する。

首位は、たばこ大手ジャルムの創業者で民間銀行最大手のバンク・セントラル・アジア(BCA)も傘下に収めるブディ・ハルトノ氏とマイケル・ハルトノ氏の兄弟。資産総額は388億米ドルで、前年の373億米ドルから増えている。

2位は複合企業シナールマス・グループの創業者、故エカ・チプタ・ウィジャヤ氏の一族で、前年から23億米ドル増の119億米ドルとなった。華人系財閥サリム・グループを率いるアンソニー・サリム氏も、前年の55億米ドルから59億米ドルに資産を拡大した。

3位は複合企業バリト・パシフィックのプラヨゴ・パンゲストゥ会長。新型コロナの影響で資産額は前年から21%減り、60億米ドルとなった。

トップ10入りはしなかったが、民放テレビ「SCTV」などを運営するエディー・クスナディ・サリアアトマジャ氏は前年比80%増の14億米ドル、伝統生薬最大手インダストリ・ジャム・ダン・ファルマシ・シド・ムンチュル(シド・ムンチュル)社長のイルワン・ヒダヤット氏も同41%増の15億5,000万米ドルと、それぞれ大きく資産を増やした。

■富裕層への課税強化提言も

経済協力開発機構(OECD)はインドネシアの今年の経済成長率をマイナス2.4%と予測。アジア通貨危機に見舞われた1998年以降では初のマイナス成長になるという。こうした状況にもかかわらず、富裕層の資産はそれほど目減りしておらず、経済格差の広がりが一段と意識されるようになっている。

14日付ジャカルタ・ポストによると、インドネシア経済金融開発研究所(INDEF)のタウヒド・アフマド所長は「コロナ禍で非正規雇用の下位中所得層がその影響をもろに受けた」と述べ、政府に対して、労働集約産業への雇用創出や中小企業の支援策強化、社会保護政策を長期にわたって実施することで、社会的格差の拡大を抑えていく必要があると訴えた。

また、インドネシア大学のディディク・ラチビニ教授(経済学)は、富裕層への課税強化を検討するべきと指摘。「税務当局は富裕層への相続税や所得への累進課税を通して、コロナ禍での債務問題や社会的格差の是正を進めることを検討すべきだ」と強調した。

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