【シンガポール】ボロコプター、3年以内に空中タクシー開始[運輸](2020/12/10)
「空飛ぶタクシー」を開発するドイツの新興企業ボロコプターは9日、シンガポールで空中タクシーのサービスを開始するめどが付いたと発表した。政府当局から認可を取得次第、今後3年以内にサービス提供を始める。
開始に当たっては、シンガポール民間航空庁(CAAS)と欧州航空安全機関(EASA)から事業認可を取得する必要がある。サービス商用化に向けて、シンガポール現地法人ボロコプター・アジア・ホールディングも設立した。
最初の飛行ルートは、高層ビル群が集まる湾岸部一帯となる見込み。観光客を主なターゲットに据える。将来的には、国際路線を飛ばす計画もある。
今後3年でパイロットや技師、運航業務の専門家など約50人を確保する。2026年までにシンガポールで200人超の正社員を雇用する見込みだ。
ボロコプターはこれまで、シンガポールやドイツ、フィンランドなどで空飛ぶタクシーの試験飛行を実施してきた。昨年9月には同サービスの先行予約の第1弾として、1,000人限定で利用チケットを販売。価格は1フライト当たり300ユーロ(約3万8,000円)だ。
ボロコプターの広報担当者はNNAに対し、「シンガポールのサービス料金も当面は他国と同じ300ユーロ程度になる」と説明した。
シンガポールではこのほか、南洋理工大学(NTU)など国内の教育・研究機関と共同で、研究開発(R&D)事業にも取り組む。
ボロコプターは2年前からシンガポール政府の支援を受け、空飛ぶタクシー事業化の準備を進めてきた。19年には試験飛行を管理する拠点を開設。同年10月に湾岸部で試験飛行を実施していた。
ボロコプターの機材はヘリコプターのような見かけだが、ドローン(小型無人機)の飛行技術が用いられている。プロペラと充電式電池で駆動する完全に電動の飛行体で、環境に優しい「排ガスゼロ」の移動手段として注目されている。