【マレーシア】トップグローブ、1Q純利益21倍で過去最高[製造](2020/12/10)
マレーシアのゴム手袋製造・販売世界最大手、トップグローブ・コーポレーションが9日発表した2021年度第1四半期(20年9~11月)決算は、売上高が前年同期比3.9倍の47億5,925万リンギ(約1,220億円)、純利益が21.3倍の23億7,578万リンギだった。新型コロナウイルスの感染拡大で医療用ゴム手袋需要が伸び、通年で過去最高益となった前年度(18億6,700万リンギ)を四半期のみで上回った。
純利益は前期比で1.8倍に拡大した。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)によって世界市場で需要が大きく伸び、増収に寄与した。また、販売量の増加や平均販売価格(ASP)の上昇、生産ラインの自動化とデジタル化の推進による生産効率の向上が2桁増益につながった。一方で、需要増を背景に原材料価格が高騰し、前期比で天然ラテックス濃縮物が13%、ニトリル(合成ゴム)が39%それぞれ上昇した。
トップグローブは、世界需要の拡大を背景に、21~25年度(20年9月~25年8月)の向こう5年間で年産能力を1,000億枚上積みする計画。設備投資に100億リンギを充てる。拡張計画では、21~22年に毎年3カ所ずつ新工場を稼働し、23年末には計42工場、年産能力は現状比で43%増の1,290億枚の体制を構築する。
今後の見通しについては、「ゴム手袋の世界需要がコロナ後に落ち着くことはあっても、衛生概念の向上でコロナ前の水準に戻ることはない」とし、世界需要が20年に前年比20%増、21年に25%増、パンデミック後に15%増と予測している。
決算報告は、スランゴール州クランにあるトップグローブの従業員寮で新型コロナのクラスター(感染者集団)が発生し、今月14日まで封鎖措置「強化された活動制限令(PKPD)」が敷かれていることにも言及。中期的にグループ全体で従業員寮の改修と新設のために計1億リンギを振り向けることを決定したという。