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【中国】21年の大卒909万人へ[経済](2020/12/03)

中国教育省と人事社会保障省(人保省)によると、2021年の大学卒業予定者は909万人となる見通しだ。20年から35万人増え、過去最高を更新する。新型コロナウイルスの影響が依然として残る中、来年も大卒者の就職は厳しい状況が続くとみられる。

両省が1日に開いた21年大卒者の就業支援に向けた作業会議で明らかになった。両省は会議で、「(大卒者の)就業環境は厳しく複雑」と強調。会議に参加した各大学や地方政府の教育、人事社会保障部門に対し、大卒者への就職支援を指示した。

各地の教育部門に対しては、就職先の多様化を図るよう要求している。電子やITなど政府が発展を促す戦略性新興産業や現代サービス業のほか、起業、軍への入隊を奨励するよう指示。従来の大卒者イコール政府機関や国営企業、大手民営企業への就職といった概念にとらわれず、幅広いサービス業などに進路を求めるよう学生を指導していくことが必要とした。科学研究助手と第二学士(セカンドバチェラー)の募集を拡大することも求めた。

各地の人事社会保障部門へは、政府系機関や地方国有企業での採用を増やすよう要求し、また中小企業や社会サービス分野への就職を支援することも指示している。

■20年卒、リーマン・ショック以来の困難

20年の大卒者は推計874万人で、前年から40万人増加。大卒者の就職環境はコロナにより「08年のリーマン・ショック以来の冷え込み」(中国メディア)との指摘もある。中国は大卒者の失業率を定期的には公表していないが、国家統計局の劉愛華報道官は7月、大学専科以上の学歴を持つ20~24歳の調査失業率が6月に19.3%になったと明らかにしていた。

人保省就業促進局の張瑩局長は10月末の会見で、9月の同失業率は前月から2.4ポイント改善したとし、「各方面の努力により大卒者の就業状況は全体で見ると安定しており、圧力は以前に比べ緩和されている」と説明。その上で、「多くの大卒者が依然として就職活動を続けている」とし、21年大卒者が就職活動を開始することを前に、政府として支援策に力を入れる必要があるとの認識を示した。

■大学進学率50%超える

教育省は1日、第13次5カ年計画(16~20年)期間中における教育分野の発展状況を説明した。高等教育機関への進学率は19年に51.6%となり、50%を超過。今後は新たに社会に出る人の2人に1人が大卒ということになり、社会でもより多様な分野で大卒者を受け入れる体制が必要になりそうだ。

同省によると、19年時点での幼稚園など就学前教育の入園率は83.4%、小中学校の9年間の義務教育進学率は94.8%、高校進学率は89.5%となっている。生産年齢人口が受けた教育期間は平均10.7年だった。

また同省はコロナ禍でさらに進んだ義務教育現場でのオンライン設備導入状況についても明らかにした。インターネットに接続している小中学校は15年の69.3%から現在は99.7%に拡大。学校が導入するPCなどIT端末は教師向けが1,060万台、学生向けが1,703万台に達している。

ほか同省は1日、今冬から来春にかけての大学を中心とした学校でのコロナ対策を徹底するよう通知した。学生の手洗い慣行やソーシャルディスタンス(社会的距離)の保持だけでなく、輸入冷凍食品からの感染を防ぐために学校内の食堂や給食の担当者は防疫対策を徹底するよう指示。また大学には冬休みの時期を学部や学年ごとにずらすなどし、一度に多くの学生が帰省などで移動することのないよう配慮を求めている。

2021年卒業生を対象とした就職説明会が上海建橋学院で開かれた。700社・機関以上が約1万6,000人分の募集内容を紹介した=10月28日、上海市(新華社)

2021年卒業生を対象とした就職説明会が上海建橋学院で開かれた。700社・機関以上が約1万6,000人分の募集内容を紹介した=10月28日、上海市(新華社)

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