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【ミャンマー】タイ北西部との国境が閉鎖[運輸](2020/10/21)

タイ北西部のターク県とミャンマーとの国境が18日から閉鎖されていることが分かった。新型コロナウイルス感染の拡大防止策として同県が出した通達に基づくもので、閉鎖は25日まで続く。対象となる国境には主要物流経路が含まれる。1週間にわたる閉鎖で貨物トラックの往来が止まり、ミャンマーにとっては、タイからの日用品の輸入などが滞る恐れがある。

タイ・ターク県はミャンマーとの国境を一時閉鎖した。写真は第2友好橋のタイ側出口=19年10月、メソト(NNA)

タイ・ターク県はミャンマーとの国境を一時閉鎖した。写真は第2友好橋のタイ側出口=19年10月、メソト(NNA)

ターク県は17日、ミャンマー国境周辺の検問所と各陸路からの貨物の越境制限についての通達を発出した。この通達に、18日の午後3時から25日の午後6時30分まで、同県が管轄する国境を閉鎖するとの規定を盛り込んだ。同県とミャンマーの間には33カ所の国境検問所があるという。

閉鎖対象には、ミャンマーの東部カイン(旧カレン)州ミャワディと国境を接するメソトが含まれる。メソトには「タイ・ミャンマー第2友好橋」と呼ばれる橋りょうがあり、ここが両国による陸上貿易で主要な経由地となっている。従来は、条件付きで第2友好橋の通行が可能だった。

国境閉鎖に踏み切ったのは、メソトに住むミャンマー人などの間で新型コロナの感染が確認されたためだ。ミャンマー人夫婦と、同夫婦と濃厚接触のあったタイ人3人を合わせた5人の市中感染が、17日と18日に相次いで見つかった。感染者には、国境で受けた検査で陽性が確認されたミャンマー国籍の運転手が含まれる。

ミャンマー商業省によれば、2019年度(19年10月~20年9月)のミャワディ経由の輸出は3億8,300万米ドル(約404億円)で、輸入は8億1,900万米ドル。タイとの国境貿易全体のうち、輸出は14%、輸入は73%を占める重要拠点で、特に日用品の輸入が多い。日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所の蒲田亮平広域調査員は「国境閉鎖は大きな影響があるのでは」と指摘する。

イレブン電子版によれば、ミャワディ周辺では、タイからの物流の停滞による物価の高騰を懸念する声も上がっている。

ミャンマー政府は12日から、新型コロナの感染予防のための出勤禁止措置を緩和。縫製業を中心に経済再開に動き始めたところだが、国境閉鎖が資材の調達などの妨げとなり、「操業再開に水を差す恐れもある」(蒲田氏)。

■在タイ企業は様子見

タイにある日系物流会社の幹部はNNAに、「ミャンマーへの陸路での輸送サービスを今週は止めている」と説明した。ただし、新型コロナの感染拡大が続く最大都市ヤンゴンでは、荷動きや工場の稼働率も回復していないため、現在のところ影響は限定的。空輸に切り替えた荷主もいるが、多くの在タイ企業は国境往来の再開を待つ方針という。

またミャワディからヤンゴンを結ぶ幹線道路は、これまでも洪水により1週間以上にわたり寸断され、タイとの国境物流が滞ることがあった。この幹部は「国境閉鎖が長引けば影響が広がる恐れもある」としつつ、例年の水害に比べ物流が受ける打撃は小さいとの見方を示している。

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