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【インドネシア】オムニバス法可決後に修正、違憲の可能性[経済](2020/10/15)

インドネシア国会は13日、雇用創出に関する制度一括改正(オムニバス)法の内容を、5日の可決後に修正したと発表した。可決時の約900ページを最終的に812ページに変更したが、誤字などを修正したにすぎないとして正当性を主張した。ただし専門家からは、複数の条項の要旨が変更されているとして批判が上がっている。これを根拠に違憲立法審査が請求されれば、オムニバス法が撤回される可能性もある。

オムニバス法の修正について説明するアジス副議長(右から2人目)=13日、国会提供

オムニバス法の修正について説明するアジス副議長(右から2人目)=13日、国会提供

アジス副議長は13日の会見で、誤字脱字や重複した文などを修正し、最終的に812ページに削減したと説明。国会法律制定評議会(BALEG)が審議する段階ではA4判の用紙を使用していたが、法文書にする際に別の規格に変える必要があることからも、可決後に修正する必要があったという。「修正段階で秘密裏に変えられた条項はないと確約する」と主張した。

最終法文書は14日にジョコ大統領に提出された。

一方で14日付テンポによると、5日の可決直後に出回っていた最終法案(905ページ)と812ページに修正されたもので条項が異なる部分が複数あるという。当初は労働関連の第88条は5項目からなっていたが、最終的には8項目に増えた。また退職金や勤続功労金の金額は「最高で以下の通り支給される」と上限を定めていたものが「以下の通り支給される」に変更された。

同評議会のスプラトマン代表は13日の会見で「可決前に立法部会が決定した内容を反映した」と説明。削除する予定だった現行法の条項を再び入れたことなどから条項が増えたという。

法曹専門家のビフィトゥリ・スサンティ氏は、法案が可決されてから7日以内に誤字などを訂正することは法律で定められていると指摘するが、「条項の変更は法律にも憲法にも違反している。オムニバス法が憲法違反であることを示す十分な証拠になる」と述べた。

ジムリー初代憲法裁長官は、立法過程も含めてオムニバス法は憲法裁で問題になる可能性が高いと言う。同法の採決の際は、可決を急ぐあまり大半の議員が最終案を手にしていなかったとみられている。

14日付リパブリカによると憲法裁のファジャール法律・国内協力部門長は、13日までにオムニバス法に関して2件の違憲申し立てが申請されていると説明した。申請者はそれぞれ国内企業の一般社員と契約社員で、同一の労働組合に所属している。

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