【ミャンマー】総選挙実施の意向変えず、スー・チー氏[政治](2020/10/07)
ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は5日夜、テレビなどを通じた国民向けの演説で、11月8日に迫った総選挙を予定通り行う意向を強調した。国内では新型コロナウイルス感染拡大の懸念も高まるが、あらためて有権者に積極的な投票を呼び掛けた。
スー・チー氏は10月初旬から、海外での在外投票が行われていることなどを挙げ、「総選挙は既に始まった」と指摘。投票した海外在住者は国民としての義務を果たしていると称賛した上で、「新型コロナの克服と総選挙の両方を成功させるため、全ての国民が力を合わせるべきだ」と述べた。
■隔離者も投票できるよう調整
また、投票所での選挙当日を想定した予行演習を6日に始めることを明らかにしたほか、新型コロナにより隔離や入院をしている人が投票できる方法も検討しているところだと説明。「国民は政府が最善を尽くしていることを信じる必要がある」と呼び掛けた。
ミャンマーでは8月半ばから最大都市ヤンゴンを中心に新型コロナの市中感染が拡大。10月5日夜までに累計感染者は約1万8,800人、死亡者は約440人に達した。
選挙の開催を巡っては、国軍系の最大野党・連邦団結発展党(USDP)が新型コロナの感染拡大によるリスクを理由に、実施時期を再考するべきと主張。ミャンマー選挙管理委員会(UEC)に先月、12月末への延期を提言したが、却下された。
USDPのキン・イー副党首は「総選挙延期による政治的不安は起こらない。人々の不安や声に耳を傾けるべきだ」と話すが、アウン・サン・スー・チー氏が率いる政権与党・国民民主連盟(NLD)は実施へ不退転の構え。各党の選挙運動も、最大都市ヤンゴンでは外出規制により控えめになる一方、大規模な感染が広がっていない地方都市では、党旗を掲げた有権者の行進が行われるなど、投票日に向けた動きが続いている。