【ミャンマー】印支援のシットウェ深海港、来年初め開港へ[政治](2020/10/08)
ミャンマー西部ラカイン州シットウェの深海港が、2021年第1四半期(1~3月)にも開港することが分かった。同港の整備を支援するインドの外務省が5日、開港時期についてミャンマー政府と合意したと発表した。
インドの国軍トップ、MM・ナラバン陸軍参謀総長と、ハーシュ・バルダン・シュリングラ外務次官は4~5日にミャンマーを訪問し、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相やミン・アウン・フライン国軍総司令官と会談。来年第1四半期のシットウェ港の供用開始に向けて準備を進めることで合意した。シットウェ港は、ミャンマーとインド北東部を結ぶ物流経路「カラダン・マルチ輸送路」の一部として、インドが開発を支援してきた。
両国はまた、人材育成や電力、エネルギー、貿易、国防など幅広い分野での関係強化で一致。ラカイン州の農業機械化での協力に合意したほか、ミャンマー北西部チン州の両国国境での橋りょう建設費用として、インドが200万米ドル(約2億1,000万円)を贈与することも決まった。インドがミャンマー産の一部豆類に、21年3月31日を期限として15万トンの輸入枠を設定することも発表された。
インド政府はまた、新型コロナウイルス感染症の治療薬「レムデシビル」3,000瓶をミャンマー政府に引き渡した。インドの連絡事務所が首都ネピドーで開所し、ミャンマーのソー・ハン外務次官が立ち会った。
電子メディアのイラワジによれば、ナラバン氏とシュリングラ氏のミャンマー訪問は、同国で影響力を強めようとしている中国に対抗する狙いがある。中国は巨大経済圏構想「一帯一路」の下で、ラカイン州チャウピュー経済特区(SEZ)で深海港の開発に取り組んでいるが、インドもシットウェ港周辺をSEZとして同州に足場を築こうとしているという。