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【フィリピン】活動制限、17業種で解除[経済](2020/10/05)

フィリピン貿易産業省は2日、マニラ首都圏など外出・移動制限措置が緩和されている地域で、17業種の企業活動の制限を解除すると発表した。一定の制限を課していた車両修理や広告、商業施設運営などの活動を100%認める。新型コロナウイルスの影響で失業者が急増したため経済再開を急ぐ考えだが、感染リスクなどを背景に需要が落ち込む中で、企業がどこまで活動の幅を広げるかは不透明だ。

新たに活動制限を解除する業種は、その他金融(両替や保険など)や広告、マーケティング、自動車やバイクの修理などサービス業が大半を占める。これらの業種は最低限の感染対策を講じれば現場での活動に制限がなくなる。生活必需品や製造業など大半の業種は、6月から既に活動制限が解除されている。

今回の措置は首都圏や近隣のバタンガス州など6地域が対象となる。これらの地域は政府が4段階で実施している外出移動制限措置で現在、上から3番目の厳格度に区分されている。そのほかの大半の地域は制限解除の一歩手前となる4番目の措置が適用されており、経済活動の制限はさらに少ない。

貿産省は新型コロナの影響で失業者が急増し、貧困や飢えに苦しむ層が増えていると指摘。累計感染者が倍増する日数や重症者への医療対応能力が改善する中、事業環境の安定性を維持して景気を刺激していく必要があると説明している。

政府が3月中旬に外出・移動制限措置を始めてから、既に6カ月半が経過している。制限措置は段階的に緩和されているが、首都圏では10月末まで現行措置の継続が決定している。経済活動の停滞で、4月の失業率は17.7%と過去最悪を記録し、725万人が失業した。7月は10.0%と改善したが、依然として高い水準にある。

ロペス貿産相は先に、首都圏の制限措置が一段と緩和されなくても、経済活動を拡大していく必要があると主張。首都圏の各自治体も、同相の考えを支持していた。

ただ企業が実際にどこまで活動の幅を広げるかは不透明だ。職場では厳格な感染対策が求められ、外出時の感染リスクを背景とした消費者心理の冷え込みで需要の回復も鈍い。

経済活動の再開により、感染が再拡大する恐れもある。首都圏では医療体制が逼迫(ひっぱく)したため、8月に2週間ほど制限措置が再び厳格化された。

足元では新型コロナ感染者1人が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」が首都圏で0.73まで下がり、重症者への医療対応能力も改善している。だが国内の医療体制は先進国に比べて脆弱(ぜいじゃく)で、感染が再拡大すれば危機的な水準に逆戻りするリスクもはらむ。

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