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【ミャンマー】感染者増で外出抑制が再拡大[経済](2020/09/11)

ミャンマーで外出を控える動きが再び広がっている。米グーグルが分析したスマートフォン利用者の位置情報データによれば、公共交通機関の駅への人出は、4日時点で平常時の26%減に落ち込んだ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、移動が再び抑制されているが、感染拡大の第1波が訪れた4月ほどには足元の人出は減少していない。

グーグルは各国のスマホ利用者の位置情報を匿名化し、6種類の場所を訪れた人の数を集計し、公開している。全国の「駅(バス停なども含む)」を訪れた人の数は、2月6日までの5週間の中間値(基準値)と比べて26%減と、8月上旬より10ポイント余り落ち込んだ。

閑散とした商業施設「ジャンクション・シティー」。店内飲食の禁止に伴い、宅配運転手の待機スペースが設置された=10日、ヤンゴン(NNA)

閑散とした商業施設「ジャンクション・シティー」。店内飲食の禁止に伴い、宅配運転手の待機スペースが設置された=10日、ヤンゴン(NNA)

駅への人出は、ミャンマー国内で新型コロナの感染者が確認された3月下旬から急減し、ティンジャン(ミャンマー正月)休暇中の4月半ばには基準値から70%余り減少した。その後の感染拡大の収束や、行動規制の緩和に伴い、人出は回復。4連休前の7月30日に5%減にまで戻ったが、8月下旬に市中感染が拡大すると再び減少に転じた。

他の場所への人出も減っている。「小売り・娯楽施設」を訪れた人の数は、8月末にいったん基準値にまで回復したが、9月4日には8%減に反落した。特に2日から7郡区が外出自粛地域に指定されたヤンゴン圏では、20%減に落ち込んだ。小売り・娯楽施設には、飲食店や商業施設、博物館、図書館、映画館などが含まれる。

全国の「公園」への人出も8月末には、基準値を超える水準に回復したが、9月4日までに7%減と再び人出が減少した。ヤンゴン圏では27%減となった。

「職場」も全国平均で8月は基準値近くにまで戻っていたが、9月に入って減少に転じ、4日は15%減にまで低下。ヤンゴン圏では23%減だった。ヤンゴンでの市中感染の拡大に伴い、在宅勤務を再び導入する企業も増えている。連邦政府は9日から公務員の半数を在宅勤務とした。また、日系企業が入居するビルでも、感染者が確認され、建物から突然締め出される事態が発生している。

「食料品店・薬局」への人出は比較的底堅く、4日時点でも全国平均で基準値をわずかに上回る水準となっている。ただし、ヤンゴン圏では9%減に低下した。

「住宅」は4日時点の全国平均で、基準値を15%上回った。ティンジャン休暇中に31%増に上昇後、緩やかに低下していたが、感染予防のために8月後半から再び自宅にとどまる傾向が強まった。

■経済活動への配慮も

足元では新型コロナの拡大が続いており、政府による行動規制は強化されている。10日までにレストランでの店内飲食はヤンゴン管区全域で禁止され、管区内28郡区が外出自粛地域に指定された。

ただし、ヤンゴンでの人の動きは、4月の感染拡大期と比べれば活発だ。外出自粛地域でも出勤は認められていることもあり、市街地の道路では渋滞も発生している。ミンガラドン郡区にある7,000人が勤務するかばんを製造する工場は、感染者が確認された後も操業継続が容認された。政府としても、これまでの経験を踏まえて、感染拡大の防止と経済活動の維持のバランスを保とうとしているとみられる。

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