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【マレーシア】労働者住宅の新基準、延期要請に政府応じず[経済](2020/09/08)

マレーシアのサラバナン・ムルガン人的資源相は7日、1990年労働者住宅最低基準法の改正法の施行を延期しない意向を表明した。改正法は今月1日に施行され、外国人を含む労働者の宿泊施設と住宅の最低基準を引き上げた。実業界からは、雇用主が新型コロナウイルス感染症の影響から事業を立て直し中であることから、施行を1年延期するよう要請が出ていた。

1990年労働者住宅最低基準法の改正法の施行を延期しないと言明したサラバナン人的資源相=7日、プトラジャヤ(NNA撮影)

1990年労働者住宅最低基準法の改正法の施行を延期しないと言明したサラバナン人的資源相=7日、プトラジャヤ(NNA撮影)

サラバナン氏は行政都市プトラジャヤで会見を開き、新しい法律の施行までに時間がないことは珍しくないと強調。同法は昨年9月に成立し、内容を変更することはできないと説明し、「われわれは国際労働機関(ILO)による新たな規範に従う必要がある」と述べた。

施行の延期を求めているマレーシア経営者連盟(MEF)やマレーシア製造業者連盟(FMM)に対しては、全ての当事者が協力し、労働者に適切な宿泊施設を提供する最善の方法を見つけることを期待するとし、政府も雇用主の同法順守に協力する意向を示した。同法の施行以来、人的資源省は6社について調査し、一部の企業は順守していなかったという。

7日付スターによると、MEFのシャムスディン・バルダン理事は「政府は、新型コロナで厳しい状況にある雇用主に新基準を強要すべきではない。少なくとも1年の延期が必要だ」との見解を表明していた。新基準の詳細が公表されたのは施行直前の8月28日で、雇用主が規定サイズの食器棚やマットレスまで調達するには時間を要するためだ。

新基準では、従業員1人に対し、▽シングルベッドのサイズは1.7平方メートル以上▽2段ベッドの場合、下段と上段の間隔を0.7メートル以上とる▽マットレスの厚さは4インチ(約10.2センチメートル)以上▽奥行きと幅が各35センチ、高さ90センチ以上の鍵付きの食器棚を提供――などの条件が規定されている。

マレーシア・ムスリム(イスラム教徒)レストラン経営者協会(Presma)も、新型コロナの予防策のために外食店の経営コストは上昇しており、同改正法の施行は「時期が悪い」との見解を示している。

FMMは先に、同改正法の施行を1年延期するよう政府に要請したと発表していた。同改正法は、基準を満たさない住宅を提供した雇用主に最大5万リンギ(約128万円)の罰金を科すと規定されており、実業界に順守を義務付ければ、新型コロナの影響からの回復の障害になると指摘していた。

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