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【中国】華為スマホ、市場で価格上昇[IT](2020/09/04)

中国通信機器大手、華為技術(広東省深セン市、ファーウェイ)のスマートフォン価格が、市中の販売店やオンラインショップで値上がりしている。ファーウェイのスマホは、米政府の規制により15日から基幹部品であるチップの供給が一部停止される見通し。これにより同社製スマホが入手できなくなるとの観測から需要が高まり、業者による価格つり上げにつながっているもようだ。

ネットメディアの澎湃新聞、中国基金報(電子版)などが伝えた。値上がりはチップ「麒麟(キリン)」を搭載するモデルを中心に起きている。キリンはファーウェイ子会社の海思半導体(ハイシリコン)が設計するが、製造はファウンドリー(半導体の受託製造)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)に委託している。だが米国政府のIT製品の輸出や技術移転規制により、TSMCは15日以降ファーウェイへの輸出ができなくなる見通しだ。

このチップ不足によるファーウェイ製スマホの供給減を見越した販売業者が、流通市場や転売市場での価格つり上げや買い占めに走っているという。キリン搭載のファーウェイ製スマホの価格は軒並み200~300元(約3,100~4,700円)ほど上昇。「ポルシェデザイン」と呼ばれる特別仕様モデルに至っては1,000~3,000元ほど値上がりしている。

ネット通販サイト「淘宝(タオバオ)」内のあるオンラインショップでは、「P40 5G」が、通常価格の4,188元から300元高い4,488元で売られている。価格調査サイト「分毫報価」によると、「中国の秋葉原」と呼ばれる深セン市の電気街「華強北」では、「Mate30 Pro 5G」の卸売価格は5月に4,830元だったが、9月には5,315元と500元ほど上昇した。オンラインショップの関係者は、品薄が続いていることからさらに価格が上昇する可能性もあるとの見方を示した。華強北の販売店の従業員も「価格の天井はまだ見えない」としている。中古品も値上がりしているという。

一方、ファーウェイ関係者は、同社として正式に価格を引き上げる計画はないと説明している。ファーウェイの公式販売サイトでは、「Mate30」のポルシェデザインが欠品していることを除けば、その他の製品は発売時の発表価格通りに販売しているという。

■強まる米の締め付け

米国政府は昨年5月、米国製品の輸出や米国由来技術の移転などに米当局の許可が必要になる企業・団体のリスト「エンティティーリスト(EL)」にファーウェイを加えると発表した。米国政府はファーウェイがその後、制裁を逃れるために米国外で米国製の製造装置を使った半導体を調達していたとして、今年5月に制裁措置を強化。外国で製造した半導体も規制対象に含めた。

新たな制裁は5月15日に発効し、TSMCはハイシリコンからの新規受注を停止した。同制裁には120日間の猶予期間が設けられたことから、TSMCはハイシリコン向けに駆け込み出荷を行ったものの、猶予期間が切れる今月15日以降、TSMCはファーウェイへの輸出ができなくなる見通しだ。

■チップ在庫は2年分?

ファーウェイにチップを供給するTSMC、台湾・聯発科技(メディアテック)、米クアルコムの3社は米国政府に対し、ファーウェイとの取引制限を取り消すよう申請した。15日までに申請が認められなければ、同日以降の取引はできなくなる。一方でファーウェイ関係者は5月、2年分のチップの在庫があると明らかにしている。

スマホ業界に詳しいアナリストの郭明キ(キ=金へんに其)氏は、ファーウェイが15日以降にスマホ部品を入手できるかどうかにかかわらず、スマホ市場での同社の競争力とシェアはマイナスの影響を受けると分析した。競合の米アップル、OPPO(オッポ)、vivo(ビーボ)、小米(シャオミ)のシェアが上昇する可能性が高いとみている。

チップ「キリン980」搭載のファーウェイ製スマートフォン「Mate20X 5G」=2019年7月26日、深セン市(新華社)

チップ「キリン980」搭載のファーウェイ製スマートフォン「Mate20X 5G」=2019年7月26日、深セン市(新華社)

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