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【マレーシア】駐在員の出入国で要許可、休暇目的は認めず[社会](2020/07/15)

新型コロナウイルス感染症対策の活動制限令下で、マレーシア入国管理局による駐在員出入国ガイドラインが二転三転している。従来、同令中の外国人の出国は制限されていなかったが、10日に発効した新たなガイドラインでは、同令が施行された3月18日以降に、再入国を前提に一時出国した場合は入管への届け出が必要になった。休暇を理由にした出国は認められない。

新ガイドラインでは、雇用パス(EP)のカテゴリー1(月額給与1万リンギ=約25万円=以上)、特殊技能を持って就労している外国人向けのレジデンス・パス(RPT)の保有者とその扶養家族、外国人メイドでも、活動制限令が敷かれた3月18日以降に出国した場合、再入国には入管から許可状の取得が必要となった。

雇用パスのカテゴリー2、3(EP2、EP3=月額給与3,000~9,999リンギ)や短期就労のためのプロフェッショナル・ビジット・パス(PVP)保有者については、同令中に出国した場合の再入国は原則認められておらず、入国する場合は確認が必要だ。

一方、活動制限令中に再入国を前提とし、一時出国する場合は、パス(ビザ=査証)の種類に関わらず事前に入管へ申請し、出国と再入国の許可状を取得する必要がある。許可状の発行日から60日以内にマレーシアに再入国することが条件となる。

イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(治安担当)は先月、駐在員の一時出国について「緊急時と医療上の理由のみに制限する」と説明していた。スター(電子版)によると、同相は14日の会見で、外国人駐在員に対し「休暇目的での出国は認めない」とあらためて発言。「特別な事情がない限り、マレーシア人の海外渡航も認めていないためだ」と理由を説明した。「(休暇で出国した場合)一定期間は再入国を認めない」と強調した。

駐在員の出入国ガイドラインは、先月24日に改定されたばかり。日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所の小野沢麻衣所長は、進出企業から「手続きが煩雑な上、頻繁に変わるため詳細が不明」と困惑の声が寄せられていると話す。

ジェトロによると、入国許可状の取得に14営業日、監督省庁からのサポートレターの取得と合わせると、必要書類を用意するのに3週間~1カ月程度かかる。申請中に再び制度が変わる可能性もあり、駐在員を派遣したくても「様子見せざるを得ない企業もある」(小野沢氏)。

当局で制度変更が周知徹底されていないことも混乱を呼んでいる。入管のカイルル・ザイミー・ダウド局長は14日、NNAに対し「外国人は出国に当たり、入管に申請する必要はない」との見解を示した。

ガイドラインに示された書類を携帯していても、入国時の担当官レベルで見解が異なるケースも起きている。小野沢氏は外国人駐在員を雇用する企業は、念入りな確認と書類の準備をすべきだと注意を促した。

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