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【インド】ダイキン、コロナ禍でも投資継続[電機](2020/06/16)

ダイキン工業のインド法人ダイキン・エアコンディショニング・インド(ダイキンインド)は、コロナ禍でも投資計画を変更せず、第3工場の設置準備を進めている。東アフリカ向けの輸出拡大を見据え、インドを世界的な生産ハブの一つとする計画だ。カンワル・ジート・ジャワ社長がNNAの単独取材に応じ、「新型コロナウイルスの流行はわれわれの投資意欲をそいでいない。まもなく新工場について正式発表ができる」と語った。

インド西部ニムラナの既存2工場では、年間120万台のエアコンを生産(ダイキンインド提供)

インド西部ニムラナの既存2工場では、年間120万台のエアコンを生産(ダイキンインド提供)

ダイキンインドは、かねて進めてきた第3工場の設置準備として、複数の州政府と土地取得について交渉している。

■敷地は50~60エーカー

ジャワ社長は13日、NNAの取材で「当社の投資意欲は衰えていない。国内とアフリカを含む海外の需要に対応するため、第3工場を建設する」と明言した。

新型コロナのパンデミック(世界的大流行)による経済的な懸念の高まりの中で、インド政府が自立した国を目指し製造業の振興に一層、力を入れ始めたことを引き合いに出し「各州が投資誘致で競い合っている。複数の州と、50~60エーカー(約20万~24万平方メートル)の土地を取得する方向で交渉中だ。まもなく正式に発表できる」とコメント。国内のエアコン市場について「(同等の人口を抱える)中国が年間1億台を超えるエアコンを製造しているのに対し、インドのエアコン販売台数は年間650万台と発展途上。普及率が低く、まだまだ未開拓で、成長の可能性が大きい」と期待をあらわにした。

■タンザニアでサブスクモデル

第3工場の設置は輸出拡大に向けた重要な動きでもある。ダイキンは、インドを輸出を含めた生産ハブとする計画。輸出の主な向け先は新興市場であるアフリカだ。

ダイキンインドは昨年9月、ケニアのナイロビに支店を設けた。インド産のエアコンはケニアやタンザニア、ルワンダなど東アフリカ7カ国に輸出している。

ジャワ氏によるとナイロビ拠点に配置された販売・マーケティングチームは、昨年10月に販売拡大に向けた取り組みを本格化。3カ月ほど前には、東アフリカ各国からディーラー50社を招き、製品とサービスに関する講習を行ったという。

昨年11月には、IoT(モノのインターネット)を活用して未電化地域に電力サービスを提供するWASSHA(ワッシャ、東京都文京区)と共同で、タンザニアでエアコンのサブスクリプション事業に取り組むと発表した。エアコンを購入する経済力のない小規模小売店や一般家庭をターゲットとして、期間ごとの定額制でエアコンを貸し出す。未成熟な市場に合わせて、収益を生みだす新たなモデルの確立を目指している。

家電製品の省エネルギーや環境負荷低減を目指す国際的な非政府組織(NGO)、CLASPが2018年に出した報告書によると、アフリカでは55ブランド以上のエアコンが出回っている。中国と韓国のブランドがシェアの大半を占め、市場規模は17年通年の販売が280万台。伸びしろは巨大だ。

■年間売上高が500億ルピー突破

ダイキンインドは11年前に生産を開始して以降、19/20年度(19年4月~20年3月)の売上高が初めて、500億ルピー(約706億円)の大台を突破した。順調に事業を拡大してきたが、本年度の販売は新型コロナの圧力が大きい。ジャワ社長は「全土封鎖でインド国内の需要は大打撃を受けた。見通しが不透明であるため予測は困難だが、ひかえめに見積もっても本年度の売上高は前年度に比べ20~25%減少する可能性がある」とコメントした。

西部ラジャスタン州ニムラナにある既存2工場の年産能力は、エアコンが120万台超、業務用マルチエアコン(VRV)が5万台、チラー(冷却装置)が1,000台超となっている。(アトゥル・ランジャン/Atul Ranjan)

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