【韓国】【新型コロナ】「ウィズコロナ」対策課題に[経済](2020/05/25)

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【後編】アンケート前編では、韓国の新型コロナウイルス対策に高い評価を示しつつも、日系企業の事業停滞が続いている状況を紹介した。後編では、依然として制約の多いビジネス展開の現状をみていく。コロナが常態化する中での事業継続計画(BCP)も求められる今、どんな不安材料や課題を抱えているのか?この我慢の時間に得るものはあったのか?――。

入店にはマスクを着用し、手を消毒。生活の中でできる防疫措置が、今後の暮らしでは必須になりそうだ=5月24日、韓国・ソウル(NNA撮影)

入店にはマスクを着用し、手を消毒。生活の中でできる防疫措置が、今後の暮らしでは必須になりそうだ=5月24日、韓国・ソウル(NNA撮影)

国内で発生した1日当たりの新規感染者数がゼロという日が続いた矢先の5月初旬、ソウルのナイトクラブでクラスター(感染者集団)が発生し、その後も一部の病院や登校を再開したばかりの高校でも生徒の感染が発覚するなど、予断を許さない日々が続いている。

事態の長期化が予想される中、事業運営で難しいのは「何について、どの時点で解除するか」というビジネス判断だ。

■営業・出張再開も制限付き

通常の企業活動についても、まだ限定的な対応を続けている企業が多い。「企業訪問や出張を再開したか」についての質問には、26.4%が依然として再開していなかった。「いつから再開するか」については「6月」が10社で最も多く、「7月以降」が2社で、「予測が立たない」という企業も6社あった。

また、「再開した」との答えが73.6%に上ったものの、そのほとんどの企業が何らかの制限を設けていることも分かった。

企業訪問については「マスク着用(訪問時の検温)」を前提に、訪問中も「社会的距離の保持」「面談時間の短縮」といった対応に努めることを条件とし、「会食は控える」という企業が多かった。「簡単な食事」はOKだが、「カラオケなど3密となる場所への出入りは避ける」といった回答もあった。

出張については、国内出張についてのみ認める企業が多く、海外出張については禁止している企業が圧倒的に多かった。

国内出張については安全面を最優先して限定的に許可しているのが現状だ。中には「大邱地域は禁止」とする企業が複数あったほか、前提条件として「特別申請書を作成し、そこに記載されているリスクアセスメントを行った場合のみ認める」や「出張後7日間は在宅とし、体調をみて出社するか判断する」という企業もあった。

■政府発表の「リスク情報」重視

では、在宅勤務や営業・出張などを再開する判断基準は何か。アンケートの回答では、「政府発表のリスク情報など」(51社)を中心に判断する企業が最も多く、「拠点独自のリスク判断」(40社)、「本社からの指示」(12社)と続いた。

それ以外では「顧客の判断や要請に従う」「日系他社や取引先の現状をみて判断」という意見が多く、「社員の意識の問題も考慮する。『不安だ』という人に対して無理な出社や出張を指示できない」との声もあった。

■渡航制限の解除が転換期に

日系企業が抱える課題は山積しているが、その中でもまず大きな転換点となるのは日韓の渡航制限(ビザなし交流の再開や2週間の待機・隔離措置)の解除だろう。

具体的には、「景気悪化や営業活動の制限で国際物流の減少が続いている。一刻も早い渡航制限の解除に期待したい」や「顧客は輸出企業であり、グローバルでの需要減はリスクとして付きまとう」「(韓国への)赴任予定者のビザ発給許可が下りず、着任の見通しがつかない」などの意見が寄せられた。

ただ、事態はさらに停滞する様相を見せている。韓国法務省は21日、6月1日以降に韓国を出国する長期滞在の外国人に対し、再入国許可免除を停止する「再入国許可制」を施行すると発表した。韓国が管理体制の強化に乗り出したことで、日韓両国の交流活性化はしばらく先送りされそうだ。

■メンタルケアの重要性高まる

「いつ終息するか先が見えない」「いつどこで感染するか分からない」という不安を抱えながらの生活を強いられる中、メンタルケアの重要性もさらに高まりそうだ。

「韓国は小規模な所帯のため、1人でも感染者が発生したら業務停止となるが、その対処法としてのBCPがまとまっていない」「今は帰国が困難なため、駐在員のメンタルヘルスや家族との関係などを心配している」など、韓国拠点のトップが社員の精神面へのケアに悩む姿も見て取れる。

■「働き方」確認する機会に

今回のアンケートを総括する自由回答欄には、「拠点間のコミュニケーションを見直すきっかけになった」「時差出勤やテレワークのメリット・デメリットを確認できた」「自社のBCPを見直せた」などこの事態を働き方改革の実験機会と捉え、肯定的に受け止める声も寄せられた。

一方で、「コロナと共存できる環境が整わない限り、本当の事態の終息は望めない」という言葉に象徴されるように、企業トップとしては「ウィズコロナという環境でどう事業継続していくか」という視点も求められているようだ。

今回のアンケート調査は5月18~20日に実施し、72社から有効回答を得た。内訳は製造業が31.9%(23社)、非製造業が61.1%(44社)、駐在員事務所が4.2%(3社)、その他が2.8%(2社)だった。回答企業の韓国拠点の所在地はソウル市が55社、京畿道が11社、釜山市が2社など。

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