【シンガポール】太陽熱利用したエアコン冷却技術開発、国立大[電機](2020/05/15)
シンガポール国立大学(NUS)は14日、太陽熱と電気エネルギーの両方を利用したハイブリッド型のエアコン冷却技術を開発したと発表した。環境に優しい製品として既に商品化しており、今後はさらにコスト効率の高い技術の開発を目指す。
機械工学学科の研究チームが、太陽熱冷却システムを開発する地場エコライン・ソーラー(Ecoline Solar)と共同でハイブリッド型冷却技術を開発した。
電気エネルギーで圧縮機(コンプレッサー)を動かす従来のエアコンは、大量の電力を消費し、二酸化炭素(CO2)の排出量も多い。研究チームは、電気エネルギーに加えて、太陽エネルギーや周辺の熱で作動するハイブリッド型圧縮機を発明した。
電気エネルギーの消費量を従来比で最大55%抑えることができるという。排熱を減らす効果のある室外機も合わせて開発した。
研究チームを率いるチュア・キアン准教授は、「世界的な気温上昇や都市化の加速でエアコンの需要は拡大している。従来のエアコンは電力を消耗するだけでなく、エアコン自体も熱を発する」と説明。今回開発した技術を通じて、消費電力削減や環境保護に貢献できると期待を示した。
開発技術を搭載したエアコンは、既にシンガポールの通信最大手シンガポール・テレコム(シングテル)や通信大手スターハブ、国内の植物工場、コンドミニアム、ホテルなどに納入している。従来のエアコンと比べて価格は2割ほど高いが、省エネ効果から使用開始後2年で価格差を相殺できるという。
今後は、NUSが特許を取得している膜式除湿技術を活用し、さらにコスト効率の高い冷却システムの開発に取り組む。