【インドネシア】感染拡大で医療崩壊の恐れも[社会](2020/04/24)

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新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、政府が人の移動を強く制限しなければ、医療崩壊が起きる可能性がある――。インドネシアのコンサルタント会社アジアコンサルト・アソシエーツの代表、バクティアル・アラム氏は23日に開催したオンライン講演会で、国立インドネシア大学公衆衛生学部の報告書を引き合いに、こう警告した。きょう24日から始まり帰省シーズンでもあるイスラム教の断食月(ラマダン)から1カ月の間に、どこまで行動を制限できるかが喫緊の課題という。

新型コロナウイルス感染拡大を阻止するため、政府は全国民に24日から帰省を禁止した(アンタラ通信)

新型コロナウイルス感染拡大を阻止するため、政府は全国民に24日から帰省を禁止した(アンタラ通信)

講演で紹介したのは、インドネシア大学公衆衛生学部の研究チームが4月上旬、国家開発企画庁(バペナス)に提出した報告書。同チームは、感染拡大防止対策3段階に応じて、それぞれ入院を必要とする感染者数と国内病院の病床数がどうなりそうかを予測、比較している。

これらの防止対策は、政府が国民に外出を任意で自粛させる程度にとどめる「低レベル」、感染者の検査を限定的に実施する「中レベル」、非常に広範囲に検査を実施し、かつ拘束力を持った社会的制限を政府が行う「高レベル」の3段階。

それぞれの対策に応じた感染者数の予測を算出したところ、(1)全国の病院(2)集中治療室(ICU)や人工呼吸器の設備が整った大手病院(3)新型コロナ感染症の指定病院――のいずれでも、4~6月にそれぞれの病院の病床数の過半を大幅に超える数に達する見通しという。

高レベルの対策を講じた場合は、入院が必要な感染者数はかろうじて全国の病院のベッド数の50%にギリギリで収まるものの、それ以外は4~6月にそれぞれの病院の病床数の過半を大幅に超える数に達する見通しという。

報告書はこの結果を踏まえ、政府に対し、ただちに四つの施策を講じる必要があると提言している。具体的には(1)他人との間に十分な距離を取る「ソーシャル・ディスタンシング」を罰則を定める形で実施(2)大規模なPCR検査と抗体検査の実施(3)帰省と集団礼拝の禁止(4)医療スタッフの拡充を含めた医療施設の強化や病院以外の隔離施設の整備。これらを実施しなかった場合、4~6月に感染拡大が進むと警鐘を鳴らした。

■帰省禁止策の中身が重要

国内の感染者数の推移については、今回紹介されたインドネシア大学の報告書以外にも複数の見通しが出ている。バクティアル氏は、それぞれが予想する感染者数は異なるものの、「4月末から5月にかけて急速な感染拡大が起きる」という点で共通すると指摘。これは、きょう24日から始まるイスラム教の断食月(ラマダン)と、1カ月後の断食明け大祭(レバラン)にちょうど重なる。

ラマダン中は、日没後の食事や集会などで人が集まる機会が多い。また、レバラン前後にはジャカルタ首都圏からの帰省ラッシュが起き、人同士の接触が大幅に増える。政府はこれまで、国民に対して帰省自粛を呼び掛けていたが、21日には帰省を禁止する方針を表明し、移動を徹底的に抑え込むことにした。

バクティアル氏は「強力な社会制限が重要である」という点で国民のコンセンサスは得られているものの、感染拡大を阻止するには、実行する施策の内容が鍵を握ると指摘。政府の帰省禁止策をはじめ今後の対応が具体的にどのようなものになるか、注視する必要があると結んだ。

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