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【中国】武漢の封鎖解除、2カ月半ぶり[経済](2020/04/08)

湖北省政府は8日午前0時、新型コロナウイルスの感染が最初に確認された同省武漢市の封鎖を解除した。1月23日に武漢を出発する航空便や高速鉄道などを止めて以来、2カ月半ぶりとなる。湖北では感染状況の改善を受け3月11日から企業活動が再開されていたが、中心都市である武漢の封鎖解除によって、経済正常化に向けて全面的に動き出したことになる。

昨年末から新型コロナウイルスの感染が急速に広がった武漢では、人の移動を制限するため、1月23日午前10時から空港や鉄道駅が封鎖された。事実上のロックダウン(都市封鎖)措置がとられる中、1月25日からは市中心部での車両通行も禁じられ、市内各区の境界には検査所が置かれた。2月14日には全ての小区(集合住宅)が封鎖され、市民の外出が一切禁止された。

新型コロナが中国各地から世界に広がる中、厳格な封じ込め措置がとられた湖北では3月に入り新規感染者が2桁以下に減少。ピーク時は連日2,000人を超える感染者が確認されていた武漢でも、3月以降は新規感染がほぼ食い止められた。

習近平国家主席は3月10日、感染が確認されて以来初めて武漢入りし、「湖北と武漢の感染状況は前向きな変化を示している」と表明。新規感染者の減少が続く中、3月11日からは省内の企業活動が本格的に再開され、25日にはまず武漢以外の都市の封鎖が解除された。封鎖状態の武漢でも大手自動車メーカーなどが相次ぎ稼働し、経済活動の再開に向けた動きが進んだ。

新華社電によると、武漢では4月4日までに一定規模以上の工業企業のうち97.2%が稼働を再開。サービス業は93.2%、卸売・小売・宿泊・飲食業は95.8%が再開した。湖北省発展改革委員会の謝高波副主任は「次のステップは企業の生産量と生産効率を引き上げることだ」と強調し、企業の正常化をさらに後押しする方針を示している。

■日系企業も通常体制に

湖北では企業の操業再開時期が複数回にわたり延期され、かつ都市封鎖により物や人の移動が制限されたことで、武漢進出日系企業にも大きな影響を及ぼした。しかし封鎖が解除されたことで、企業活動の正常化に向けた動きが加速しそうだ。

ホンダと東風汽車集団の合弁、東風本田汽車(東風ホンダ)の武漢工場は、湖北省政府の企業再開時期の延期指示により春節(旧正月)連休が明けた後も生産を始めることができず、3月11日になり約1カ月半ぶりに部分的な生産再開にこぎ着けた。

ホンダの中国法人、本田技研工業(中国)投資の担当者によると、武漢工場は4月中には通常の生産体制に戻る見通し。武漢工場の年産能力は60万台でホンダの中国における生産能力の半分を占めるが、「4月以降は1~3月で停滞した分をフル稼働で埋めていく」(同担当者)予定。日本などで新型コロナの流行が拡大し世界的なサプライチェーンの乱れが懸念されるが、武漢工場の現地調達率は8~9割と高く、現地サプライヤーの生産再開も進んでいることから、影響は大きくないとみている。

同担当者は「(都市封鎖による各種規制の)ハードルが下がるのは歓迎」と説明した。一方で新型コロナによる自動車消費の冷え込みが長期化し、中国での新車販売に響くことに懸念を示した。

イオンは、武漢市内に3店ある「イオンモール」を4月1日から通常の営業体制に戻した。ただ、引き続き入店時には中国当局公認の「健康コード」と呼ばれる通行手形の提示を求める。市内に5店展開する総合スーパー「イオン」は、生活必需品である食品や日用品を取り扱っていることから感染拡大後もインターネット販売や団体購買によって営業を継続していた。イオンの広報担当者は「仕入れなど物流面は既に通常通りに戻っている。(封鎖が解除される)8日以降は今以上に生活の正常化が進むだろう」と語った。

湖北省武漢市から故郷の河南省許昌市へ戻る8日付の鉄道切符を手にするカップル=6日、武漢市(新華社)

湖北省武漢市から故郷の河南省許昌市へ戻る8日付の鉄道切符を手にするカップル=6日、武漢市(新華社)

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