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【香港】香港で深刻な人権侵害、米報告書[政治](2020/03/13)

米国務省は11日発表した2019年版の年次人権報告書で、「逃亡犯条例」改正案を発端とする同年後半の香港政府や香港警察などに対する激しい抗議運動を取り上げ、深刻な人権問題が発生したと指摘して、香港政府と警察を非難した。中国外務省と香港政府は直ちに「内政干渉」と猛反発。一方、香港の民主派団体は報告書を評価した。

報告書は、特に抗議運動が激化した19年後半に香港で発生した政府当局による人権侵害の例として、◇警察による抗議運動参加者やその周辺にいた人への暴力行為◇恣意(しい)的な逮捕◇平和的な集会や結社の自由という権利への実質的な干渉◇市民の政治参加の制限――を列挙した。

香港の法令は政府当局による拷問、また残酷、非人道的で下劣な扱いや処罰を禁じているが、実際には香港警察がむやみな、または下劣な拘留を行っていることが報告されていると指摘。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの報告書などを根拠として示した。警察が否定していることを明記しつつも、一部の活動家が新界・文錦渡の新屋嶺抑留センターで拘留され、骨を折られたり、性的虐待を受けたりしているとの情報も記載した。

報告書はまた、香港政府は人権侵害に関与した官僚の起訴や処罰に動いたものの、警察の人権侵害などを調査する独立調査委員会の設置など、抗議活動の参加者側の要求を拒否し続けていると指摘した。

報告書は、民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏が19年10月、区議会(地方議会)議員選挙(同年11月24日投票)への立候補を香港選挙管理委員会から却下されたことなども取り上げ、香港で表現の自由が圧迫されているとの認識を示した。

今回の報告書は、19年11月に香港人権・民主主義法が成立してから初めての報告書。ポンペオ米国務長官は近く、同法が義務づけた香港の一国二制度の履行状況についての年次報告書を米議会に提出する見通しだ。議会が香港への優遇措置を続けるかどうかを判断する基礎資料になるため、内容が注目される。

■中国外務省「暴力美化だ」

中国外務省駐香港特派員公署は12日発表した報道官談話で、米国務省の人権報告書を、「いかなる法治社会でも容認できない過激な暴力行為を意図的に美化し、法に基づいて暴乱を鎮めようとしている香港政府と警察をおとしめている」などと激しく非難。人権と自由の名を借りた香港の事務と中国の内政に対する粗暴な干渉であり、断固反対すると強調した。

香港政府報道官も同日、19年後半の警察の行動は適切だったなどと反論。外国政府はいかなる形式であっても香港の内部事務に干渉すべきでないと主張した。

■香港衆志、米に制裁発動求める

一方、黄之鋒氏が事務局長を務める民主派団体の香港衆志(デモシスト)は12日に発表した声明で、新屋嶺抑留センターの事件など、警察の暴力乱用に関する記述は相当しっかりしていると指摘。米政府が香港における人権侵害に対して鮮明な姿勢を打ち出したものだと評価した。

香港人権・民主主義法に基づく報告書も、中国中央や香港政府に厳しい表現になると予想し、米政府に対して、香港政府高官や警察幹部に対する制裁を発動するよう促した。

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