【韓国】トラコス「集団感染防止に最善尽くす」[社会](2020/03/13)
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ソウル市九老区のコールセンターで新型コロナウイルス感染症の集団感染が発生したことで、コールセンターが「第2の新天地イエス教会になるのではないか」との懸念が強まっている。感染が拡大すればイメージダウンにつながり、業界全体への悪影響は避けられない。ソウル市内で8カ所のコールセンターを運営する日系大手トランスコスモスコリアの谷裕之副社長は、「感染拡大を防ぐため、業界が一丸となる必要がある」との立場を示している。
――ソウル市でも100人単位の集団感染が確認された。発生地のコールセンターに対して「『第2の新天地イエス教会』になるのでは」との懸念も強まっている。
「ついに起こってしまったか」というのが第一印象だが、労働集約型の産業であればいかなる業種であれ感染リスクは高いので、コールセンターで起きたのは「たまたま」と表現する方が正確だろう。ただ、コールセンターが「第2の新天地」というイメージが広がれば、業界全体の信用低下は避けられない。
――ソウル市はコールセンターの全数調査に乗り出したが、すでに調査を受けたのか。
テレフォンオペレーターのマスク着用の有無や座席の間隔、座席に設けられているパーティションの高さ、施設の消毒周期などを細かく聞かれた。「大邱のような集団感染になるのではないか」というソウル市の強い懸念が伝わってきた。
■発生想定したBCP樹立
――トランスコスモスコリアは約7,000人のテレフォンオペレーターを抱えている。どのような予防策を講じているのか。
新型コロナの発生地である中国・武漢の様子について、当社の中国現地法人を通じて早くから細かく把握してきた。週1回のペースで施設の消毒を行い、テレフォンオペレーターにはマスクや消毒薬を配布するなどして、2月の早い段階から感染予防を徹底してきた。
また、今回の事態のようにコールセンターで感染者が発生するケースを想定した事業継続計画(BCP)も立てた。あるコールセンターで感染者が発生して閉鎖となった場合、別のコールセンターで業務を代行できるようにした。オペレーションレベルでも、韓国では他社に先駆けてメールやチャット、電話を使った在宅勤務を推進してきた。在宅勤務時のセキュリティー問題もすでに解決済みだ。
―今後予想されるリスクには、どのようなものがあるか。
新型コロナの感染拡大で景気が下向き、クライアント企業の業績が悪化すれば、真っ先にカットされるのは業務のアウトソーシング(外部委託)コストだ。そうなれば、業界全体のパイが縮小しかねない。
SKテレコム(SKT)やKTなど大手企業のコールセンターでも希望者に在宅勤務を認めるなど、感染予防の意識が高まっている。今は新型コロナの早期の収束に向け、業界全体で協力していく時だ。(聞き手=坂部哲生)