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【フィリピン】政府、首都圏封鎖を視野[社会](2020/03/12)

フィリピン政府は、国内での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、マニラ首都圏の封鎖を視野に入れている。国家警察や国軍、地方自治体が一体となって実行する態勢が整った。国内での感染者が増え続けていることに政府は警戒感を強めているが、現時点での封鎖は時期尚早との見解を示している。実際に封鎖されても一部地域にとどまる可能性が高そうだ。

街中では新型コロナウイルスの感染を防ぐ目的でマスクを着用する人が増えている=3月上旬、マニラ首都圏マカティ市(NNA撮影)

街中では新型コロナウイルスの感染を防ぐ目的でマスクを着用する人が増えている=3月上旬、マニラ首都圏マカティ市(NNA撮影)

複数の地元紙によると、アニョ内務・自治相は10日、首都圏協議会の席で「(首都圏の)封鎖について準備が整った」と話した。「地域社会での感染は確認されていない」とも述べ、封鎖の時期はまだ未定との見解を示した。

仮に封鎖を実行した場合でも、ウイルスの潜伏期とされる14日間に限定する方針を示した。これに対し、マニラ首都圏開発庁(MMDA)のホセ・ガルシア・ゼネラルマネジャーは、同相の意見に同意した上で「パニックを起こしたいわけではないが、最悪のケースを想定して準備しなければならない」と強調した。

デュケ保健相は10日、議会公聴会で「仮に首都圏を封鎖することになった場合でも、一部地域に限定される」との見方を示した。実際に封鎖されると、コメなど生活必需品の供給網が寸断される恐れがあるとされる。

首都圏封鎖は、サルセダ下院議員が感染拡大の防止策として提案していた。ドゥテルテ大統領は9日夜、「(首都圏の)感染拡大は封鎖すべき水準まで達していない。時期尚早だ」と否定的な立場を示していた。

国内で感染が広がったことを受け、保健省は先に、公衆衛生上の警戒レベルを5段階中、上から2番目の「レッド・サブレベル1」に引き上げた。フィリピン人への感染や、海外渡航歴がなく感染経路が不明の患者が出てくる「市中感染」が確認されたことが大きい。

ただ強制的な都市の封鎖には、最高レベルの「レッド・サブレベル2」に引き上げる必要がある。感染経路がより複雑になり追跡が難しくなるほか、市中感染が広がることが想定され、学校の休校や企業の業務停止も求められる。

ゴー上院議員は「(都市の封鎖について)大統領と協議した。警戒レベルが最高になっていない現状では、政府が強制的に封鎖を命じることはできない。個別の事情に応じて判断する必要がある」と説明した。

ドゥテルテ大統領は、予防的な措置として10~14日に首都圏の学校を休校にすることを指示。大統領府は10日、商業施設や映画館に対し、学生の入場を拒否するよう要請した。

一方、ノグラレス大統領府長官によると、政府は感染拡大防止の一環として、公務員の勤務体制を週4日に減らすことを検討している。

民間企業に対しては先に、労働雇用省が勤務時間の短縮や就労場所の変更、強制的な有休消化など柔軟な勤務体制に関するガイドラインを発表。フィリピン経済区庁(PEZA)も、登録企業の従業員に在宅勤務を認める方針を打ち出している。

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