【韓国】新型肺炎関連法で罰則強化[社会](2020/02/28)
新型コロナウイルスの肺炎(COVID19)による感染者急増を受けて、韓国国会は26日に関連法を成立させ、感染疑いのある人が隔離措置を拒んだ場合の罰則を強化した。感染症発症国の外国人に対しては、入国禁止措置を可能にする条項も盛り込んだ。感染者数が中国に次いで世界で多い国となる中、韓国政府は感染防止対策で挽回を図る構えだが、終息に向けて効果をどこまで発揮できるか不透明な面もある。
新型肺炎による感染者数は27日午後4時時点で、前日から新たに過去最高の505人が確認されて計1,766人になった。死者数も13人に達し、世界で第2位の感染症発症国となった。韓国の国会は感染拡大を最小限に抑えるため、「コロナ3法」と呼ばれる「検疫法・医療法・感染症予防法の改正案」を成立して対応策強化に乗り出した。韓国メディアによると施行日は6月予定だが、事態の深刻化に伴い、一部条項は公布日から即日施行する。
改正感染症予防法は、感染の疑いがある人が入院や隔離措置の要請に応じない場合の罰則を、現行の「300万ウォン(約27万円)以下の罰金」から、「1年以下の懲役または1,000万ウォン(約90万円)以下の罰金」とした。
韓国の感染拡大は、1人の発症者から多人数に感染が広がる「スーパースプレッダー」が原因だ。大邱市の感染者が、症状があったにもかかわらず医療関係者が勧める検査を拒否し、新興宗教団体「新天地イエス教会」の教会に通うなどで集団感染が起きた。
新天地イエス教会の信者数は全国で20万人に上るとされ、ソウルでも約3万人が信仰しているとされる。検査の徹底に向けて罰則強化が急務になっていた。
マスクや消毒剤の不足に対応するため、輸出制限を発動できる条項も追加された。洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は27日、「輸出制限を通じて、1日の生産量(約1,000万枚)の90%以上を国内に供給する」と強調した。
電子商取引(EC)サイトでは、マスクの1枚当たりの平均価格が通常の5倍となる4,000ウォンで販売されている。感染拡大前の2月初旬に中国へ大量出荷されたことや、法人によるまとめ買いが相次いだため品薄状態が続いている。
改正検疫法には、感染症発生地域での滞在や同地域を経由した人を対象に、出国・入国ともに禁止することができる条項が盛り込まれた。韓国はすでに中国湖北省に滞在歴のある外国人の入国を禁じているが、法的根拠が乏しく、ビザの効力停止などで対応していた。
■文政権に批判集中
新型肺炎の感染拡大を巡っては、韓国政府の初動の対応について批判の声が強まっている。これまでの感染者の大部分が大邱市・慶尚北道に集中しており、「ソウルなど首都圏を中心に防疫が強化される一方で、地方における感染防止策は不十分だった」との指摘だ。
大統領府ホームページの国民請願掲示板では、文在寅(ムンジェイン)大統領の弾劾を求める請願が27日午後15時時点で100万人に上る。20万人を超えると政府が回答する必要があるため、文大統領は3月5日の締め切り後に対応を迫られそうだ。