【中国】海外からの入国者隔離の動き[社会](2020/02/27)
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新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染が中国以外で拡大していることを受け、日本や韓国との交流が盛んな山東省では、海外からの入国者を直接隔離する動きが出始めている。直近で現地を訪れた日本人の行動も既に制約を受けているもよう。今後こうした外国人を対象にした防疫措置が他地域にも拡大するかは未知数だが、中国国内と海外で感染拡大の勢いが「逆転」していることから、ビジネスなどで現地を訪れる日本人にも注意が必要と言えそうだ。
在青島日本国総領事館は25日、山東省青島市政府が同日、国外からの入国者に対して14日間の自宅隔離を義務付けるとともに、空港からの移動方法を制限する措置の実施を公表したとして、注意喚起を行った。青島市の一部市区では、「社区」と呼ばれる地域コミュニティーなどに対して日本と韓国からの渡航者名簿を作成するように指示が出ているとの情報もある。
同市では今後、入国者に対して◇流行地域への渡航または居住歴、発熱、呼吸器系の症状がある場合◇新型肺炎の感染者との接触歴がある場合◇利用した交通機関において発熱症例が発生した場合◇入国検疫の際に発熱または呼吸器系の症状がある場合――には集中隔離や経過観察を実施。これに当てはまらない入国者についても、居住する区・市が手配する車両で空港から移動しなければならず、青島市内に住居がある場合は自宅で14日間の隔離観察を行い、出張や旅行などの短期滞在の場合は指定されたホテルに宿泊することを義務付ける。
青島市には全日空(ANA)が日本から直行便を飛ばしている。既に日本人への影響が出ているもようで、25日午後にANA便で青島に到着した日本人が、当局の手配する車両で市内に移動したという。空港の到着ロビーに当局の担当者が待機し、搭乗者が到着すると住所などを確認の上、指定車両に乗るよう求められるようだ。
ANAは関西、成田―青島の直行便を毎日1往復就航していたが、新型肺炎の影響で関西便は2月10日から3月28日まで運休とし、成田便は2月20日から週4便(火、木、土、日)に減便した。ANAの広報担当者によると、青島市が発表した措置を搭乗者にどのように周知するかについては現在検討中という。
山東省では青島市以外にも、威海市政府が25日、新型肺炎の感染を防ぐため、日本や韓国から同市に入る全ての人に対して14日間の隔離措置をとると発表、同日から実施した。同日午前には、韓国の仁川空港から威海に到着した航空便に乗っていた乗客167人が威海市指定のホテルに隔離された。
煙台市政府も25日、国外から持ち込まれたウイルスが拡散することを防ぐため、イミグレーションで個人情報や健康状態の確認を強化すると発表した。発熱や咳などの症状が見られた場合は相応の措置をとり、特別な措置をとる必要がない場合は指定車両で目的地まで送り届けるとしている。出張や旅行の短期滞在の場合は指定したホテルへの宿泊を義務付ける。
外務省の「海外在留邦人数調査統計」などによると、2018年10月時点の山東省の在留邦人数は1,862人、省内に進出する日系企業は1,791拠点に上る。(広州・川杉宏行)