【香港】マスク、香港で月最低3億枚の需要[社会](2020/01/30)
香港大学感染・伝染病センターの何栢良総監は、新型肺炎の予防を目的に香港の全市民にマスクが行き渡るようにするには、少なくとも毎月3億枚が必要になるとの試算を示した。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の大流行時は、同じマスクを1週間使用し続けるなど、マスク不足による衛生管理の不徹底が医療従事者の感染につながったことにも注意を喚起している。29日付明報が伝えた。
香港では新型肺炎の感染者が確認された先週以降、ドラッグストアなどでマスクの品薄状態が続き、手に入りにくい状況が続いている。医師団体の香港医学会(HKMA)は28日、地域のホームドクターでさえもマスクの入手が困難な状況にある実情を明らかにした。会長を務める李福基医師は、看護師がマスクなしでの勤務を拒むなど、一部の個人診療所の業務に支障が出ていると指摘した。
ドラッグストアの業界団体、港九薬房総商会の劉愛国副理事長によると、香港域内に流通するマスクは主に中国本土から輸入されており、本土の需要拡大で、マスクの調達が困難となっている。さらに別の調達先である台湾が、サージカルマスク(外科用マスク)とN95マスクの輸出を一時停止した。劉氏はタイのメーカーにマスクを発注済みだが、到着までに少なくとも3カ月を要する見込みだという。
香港政府の邱騰華(エドワード・ヤウ)商務・経済発展局長は、第一線の医療現場に必要な物資供給を確保すると表明。中央政府や本土税関との情報共有を通じて、調達物資をロットごとに追跡管理していく方針を示した。