【中国】新型肺炎は人から人に感染、死者6人に[社会](2020/01/22)
中国湖北省武漢市を中心に多発している新型のコロナウイルスによる肺炎を巡り、中国の感染症研究の第一人者である鍾南山氏は20日、「人から人への感染は間違いない」との見解を明らかにした。新型肺炎による死者は21日夕方までに6人に増えている。
新華社電など複数の中国メディアが伝えた。鍾氏は「発症者は武漢の2区に集中しているが、多数の発症者が確認された海鮮市場が閉鎖されたにもかかわらず、いまだに発症が続いている」と指摘。広東省で発症が確認された2人も武漢帰りで発病した家族から感染したことが判明しており、「人から人に感染していることは間違いない」とした。ただ、重症急性呼吸器症候群(SARS)に比べると感染性は強くないという。
現時点で新型のコロナウイルスの感染源は判明していない。鍾氏は「野生動物が発生源の可能性が高いが、さらなる研究に基づき判断する必要がある」と語った。
■発症者は291人に
武漢市衛生健康委員会が21日午後5時すぎに発表したところによると、新型のコロナウイルスによる肺炎で20日、新たに2人の死亡が確認された。同市で確認された死者数はこれで6人となった。
20日に新たに確認された死者は66歳の男性と48歳の女性で、いずれも糖尿病などの疾患があったという。また同市では少なくとも医療従事者15人が新型肺炎に感染したことも分かっている。
国家衛生健康委員会は21日、20日までに国内で確認された発症者は湖北省で270人、北京市で5人、上海市で2人、広東省で14人の計291人になったと発表した。
感染の疑いのある者は四川省、雲南省、山東省、広西チワン族自治区、吉林省、安徽省、浙江省、江西省、海南省、貴州省、寧夏回族自治区でも報告されている。
武漢市以外での死者は21日夕方時点で報告されていない。
■制圧に全力
李克強首相は20日に開いた国務院(中央政府)常務会議で、中央政府としての取り組みを強化する姿勢を示した。
李氏は関連部門と各地方政府に対し、新型肺炎の予防対策を各地が責任を持って実行するよう求め、公共交通機関での換気や消毒の実施や、発症者の早期発見、院内感染対策の徹底などを指示した。また情報開示の透明性を順守し、感染状況をタイムリーに社会に通知すると強調。世界保健機関(WHO)や関連国・地域とのコミュニケーションを強化し、感染源と感染経路の早期特定に努める姿勢を示した。
新型肺炎は日本やタイ、韓国のほか、21日には台湾でも発症者が確認された。ほかオーストラリアやフィリピンでも感染の疑いがある人が相次いで見つかっている。
WHOはきょう22日に専門家による緊急委員会を本部のあるスイスのジュネーブで開催し、新型肺炎が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に相当するか否かなどを協議する。
■民航局、武漢便キャンセル無料対応指示
中国民用航空局(民航局)は21日、航空各社に対し、武漢行き便の航空券の購入者が搭乗を取りやめて払い戻しを要求した場合、手数料なしで応じるよう通達した。