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【マレーシア】高速道PLUS、来月から料金18%引き下げ[運輸](2020/01/20)

マレーシアの首相府は17日、国内最大の高速道路運営会社PLUSマレーシアが、同社が運営する高速道路の通行料金を来月1日から18%引き下げると発表した。15日の閣議ではまた、PLUS株の売却を見送るほか、2038年に期限を迎えるPLUSとの高速道路のコンセッション(運営権)契約を58年まで20年間延長することも決定したと明らかにした。

首相府によると、マレー半島を縦断する南北高速道路の乗用車料金は、現行の1キロメートル当たり13.6セン(約3.7円)から同11.15センとなり、1999年当時の同11.24センより安くなる。PLUSは、コンセッション契約が切れる58年まで、高速道路の料金引き上げを実施しないという。

料金引き下げの対象となるのは、新クランバレー(クアラルンプール首都圏)高速道路(NKVE)やスランゴール州シャアラムとヌグリスンビラン州ニライを結ぶ南北高速道路セントラルリンク(ELITE)を含む南北高速道路のほか、◇マレーシアとシンガポールを結ぶ国境橋「セカンドリンク」◇東海岸高速道第2区間(トレンガヌ州ジャブー―クアラトレンガヌ)◇バターワース(ペナン州)―クリム(クダ州)高速道路(BKE)◇スレンバン(ヌグリスンビラン州)―ポートディクソン(スランゴール州)有料道路(SPDH)◇ペナン大橋――。

15日の閣議ではまた、PLUSの株式を政府系投資会社カザナ・ナショナルと従業員積立基金(EPF)が引き続き保有することも決定した。公共事業省や財務省、経済省など関係機関が1年以上、検討した結果という。PLUSにはカザナが51%、EPFが49%それぞれ出資している。

首相府によれば、政府がPLUSの高速道路料金の引き下げ分を負担しないことで、コンセッション契約が満了となる58年までに420億リンギ(約1兆1,400億円)を節約できる。節約した資金を国民の福祉を向上する取り組みに充てると説明した。

18日付エッジは、政府はPLUS株を売却しない代わりに、PLUSが資産価値に相当する75億リンギ相当のスクーク(イスラム債)を発行し、高速道路の料金引き下げによる収入の補塡(ほてん)に充てるもようだと報じた。関係筋は、料金引き下げで高速道路の利用者が増えれば、収入が拡大し、債務を早く返済できると指摘した。

■料金引き下げに賛否両論

政府決定に対する反応はさまざまだ。17日付スター(電子版)によると、サンウエー大学ビジネススクールのイエー・キムレン教授は、「高速道路料金の引き上げ凍結は、輸送コスト上昇によるインフレを抑制する効果がある」と評価。通行料の引き下げが高速道路の保守サービスの低下につながるという懸念に関しては、「PLUSには保守費用を十分賄えるだけの通行料収入があり、料金を引き下げても大きな問題にはならないだろう」との見方を示した。

マレーシア消費者連盟(FOMCA)のポール・セルバラジ事務局長は、「自動車の所有者のみが恩恵を受ける高速道路料金の引き下げよりも、公共交通の問題にもっと目を向けるべきだ」と指摘。「信頼できる公共交通機関がないため、市民は自動車を所有し、駐車場や高速道路などの料金負担を強いられている」と政策を批判した。

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