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【ベトナム】枯葉剤汚染を洗浄へ、清水建設が実証完了[化学](2020/01/06)

清水建設がビエンホア空港に設置した土壌洗浄プラント(同社提供)

清水建設がビエンホア空港に設置した土壌洗浄プラント(同社提供)

清水建設は2019年12月26日、ベトナム南部ドンナイ省のビエンホア空港で実施していた、枯葉剤由来ダイオキシン汚染土壌の浄化実証試験のうち、プラントによる洗浄処理試験が完了したと発表した。ベトナム戦争時、米軍が散布した枯葉剤の影響はいまだに残る。洗浄処理した土のダイオキシン成分の除去率は平均95%。政府が、2020年6月にも開始する本格除染事業への採否を検討する。

清水建設は、18年11月にビエンホア空港内の土壌洗浄プラントの建設を開始。翌19年1月末に完成させ、同3月下旬から実証運転を開始していた。約900トンの土に洗浄処理を施した結果、室内実験と同等の高い除染効果を確認した。汚染土壌量の70%近くを浄化土として再利用できる見込みという。

同社は、19年11月末から、洗浄処理後の残りかすである「濃縮汚泥」を熱処理する追加実験も米国企業と共同で実施している。熱処理により、ダイオキシン汚染土壌を完全無害化させ、100%に再利用を実現できる見込みだ。

ダイオキシン汚染土壌は、850度以上で焼却処理することで無害化できるが、処理コストが大きく、適切な排ガス管理が必要となる。清水建設の土壌洗浄技術は、粒子の大きさに合わせて水洗いや擦り洗いを行い、分離した汚染物質を泡の表面に付着させて除去する「フローテーション」などで、低コストかつ排ガスなどが発生しない。

ビエンホア空港には、約85万トンとベトナム最大規模のダイオキシン汚染土壌が存在すると推計されている。清水建設は、14年に同国への技術適用の調査を開始していた。

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