【ミャンマー】スー・チー氏の出廷、国民から幅広い支持[政治](2019/12/04)
ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が、10~12日に国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)に出廷する計画に対して、国内での支持が広がっている。スー・チー氏自らが、イスラム教徒少数民族ロヒンギャに対するジェノサイド(民族大虐殺)の疑惑に反論することに、国内の少数民族武装勢力や、国軍のほか、イスラム教徒団体も賛意を表明している。
北東部シャン州ワ自治管区の事実上の与党であるワ州連合党(UWSP)は11月27日、自治管区政府、党の軍事部門であるワ州連合軍(UWSA)と連名で声明を発表した。スー・チー氏の出廷を「ミャンマーの尊厳を守るために、弁明してくれることを誇りに感じている」と評価した。ロヒンギャの迫害が行われたとされる西部ラカイン州の状況について「複雑な問題で、200年前にさかのぼる歴史に根ざしている」と指摘。「偏見からくる行動や不適切な国際的な介入は、さらなる不安定や混乱を招く」と裁判を批判した。
ICJには、西アフリカ・ガンビアが11月11日、イスラム協力機構(OIC)を代表して提訴した。しかし、ミャンマーのイスラム教団体である「ミャンマー・イスラム教徒国家問題機構(Ma-Ah-Pha)」は同28日に声明で、スー・チー氏への全面的な支持を表明した。
虐殺への関与が疑われる国軍も、スー・チー氏の出廷に賛意を示し、政府と全面的に協力していく方針だ。国軍は、改憲問題などの内政ではスー・チー氏と対立している。
■ヤンゴン中心部で集会も
イレブン電子版によれば、最大都市ヤンゴンのマハバンドゥーラ公園では12月1日、数千人がスー・チー氏の出廷を支持する集会を開き、「スー・チー氏とともに」とシュプレヒコールを繰り返した。ヤンゴン管区のピョー・ミン・テイン首相や議員も出席した。国内旅行会社は、スー・チー氏が出廷する公聴会を傍聴するためオランダに渡航する国民向けに、割引ツアーの販売を始めている。
一方で、アラカン国民党(ANP)のペ・タン下院議員は、「国の指導者が法廷で反論することには賛成できない」として、法律の専門家に任せるべきだとの意見を表明している。