【インドネシア】ジェトロ、事務所設立60周年でセミナー開催[政治](2019/12/18)
日本貿易振興機構(ジェトロ)ジャカルタ事務所は17日、設立60周年を記念して「第2期ジョコ政権の展望と日系企業のビジネス環境」と題したセミナーを南ジャカルタで開催した。日系企業関係者ら約300人が参加した。
ジェトロ・アジア経済研究所の佐藤百合上席主任研究員は、ジョコ・ウィドド大統領の第2期政権について、2045年に世界五大経済大国になるとの目標を掲げたことに言及。達成に向けて24年の国内総生産(GDP)成長率目標を5.5~6.5%に設定していると話した。
第1期政権では、目標とした製造業の拡大や脱ジャワ集中は達成できなかったが、第2期政権では投資環境の課題改善に向けた動きも顕著で第1期よりもはるかに安定した政権基盤になるとの見通しを示した。
また、内政では開発を推進するための治安維持を重視、経済面では法整備や首都移転など目に見える成果を「迅速に」打ち出すことに力を入れていると述べた。
■人件費の高騰が投資のリスク要因に
ジェトロはこの日、在インドネシア日系企業1,726社(有効回答数は614)を対象に行った活動実態調査の結果も公表した。企業が考えるインドネシア投資のメリットとして、市場規模や成長性の高さが例年トップに挙げられている一方で、人件費の高騰が大きなリスク要因と感じていることが明らかになった。近年は税務手続きの煩雑さやテロや暴動などの社会不安もリスク要因として上昇。ただ、政府がインフラ開発に注力している効果は表れているとしている。
ジェトロ・ジャカルタ事務所の鈴木啓之所長は、賃金上昇に対する日系企業の対応について「原材料費の抑制や生産性の向上によるコスト削減を計画している企業が多い」と発言。従業員数の削減は3割以下、撤退は2%以下にとどまるとして、賃金上昇がネックになる中でも各社が前向きに課題解決に取り組んでいると説明。その上で、日本企業が賃金上昇を強く懸念していることを政府に伝えていくと述べた。
ジェトロ・ジャカルタ事務所は、現ジェトロの前身である特殊法人日本貿易振興会の設立から1年後の1959年6月に設立。今後も政府関係者との対話や政策提言などを通じて、インドネシアの事業環境改善や日本との経済関係発展に寄与していくとしている。