【韓国】KTが「AI企業宣言」、通信会社から変身[IT](2019/10/31)
韓国通信大手KTは30日、ソウル・光化門で記者会見を開き、移動通信から人工知能(AI)を専門とする企業への変身を宣言した。スローガンは「KT AI Everywhere」。AIと次世代通信規格「5G」との相乗効果を高め、家庭や学校、職場、工場、ホテルなど、あらゆる場所でAIサービスを提供していく考えだ。
KTは、向こう4年間でAI分野に3,000億ウォン(約280億円)を投資し、専門人材を現在の600人から1,000人に増やす。韓国政府系機関のソフトウエア政策研究所によると、世界のAI専門家500人(09~18年のAI関連論文の引用数などから推定)のうち韓国人は7人にとどまっており、米国人(73人)や中国人(65人)に比べて専門人材の差は歴然としている。
同社は、AIを搭載した自社のスマートスピーカー「ギガ・ジニー」を利用したインターネットテレビ利用者が2017年のサービス開始から200万人を突破。AIの重要性に対する認識が一般消費者の間でも浸透しつつあり、専門企業への脱皮の機は熟したと判断したもよう。同社のイ・ピルジェ・マーケティング部門長(副社長)は記者会見で、「ソフトウエアへの投資の半分以上をAI分野に振り向ける」とあいさつした。
韓国では、米グーグル「アルファ碁」が2016年に、当時は世界最強の囲碁棋士と言われたイ・セドル九段を破ったことでAIに対する関心が高まった。今年7月に韓国を訪れたソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が韓国大統領府で文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談した際に言ったという「今後、韓国が集中しなければならないのは一にもAI、二にもAI、三にもAIだ」という言葉が、政財界で事あるごとに引用されている。