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【シンガポール】通信2社大幅減益、最大手は16年ぶり低水準[IT](2019/08/13)

シンガポールの通信大手2社の業績が不振だ。2019年4~6月期の決算は、最大手シンガポール・テレコム(シングテル)の純利益が、海外出資先の通信会社の業績不振が響いて03年以来16年ぶりの低水準。2位のスターハブも携帯電話サービスの低迷などで3割超の減益となった。通信業界では競争が激化しているほか、第5世代(5G)移動通信システムの投資がかさむことが予想されるため、引き続き厳しい業況となりそうだ。

「エアテルの損失を除けば、4~6月期の純利益はほぼ横ばいだ」と話すシングテルのチュア・ソククーン・グループ最高経営責任者(CEO)=8日、シンガポール中心部(NNA撮影)

「エアテルの損失を除けば、4~6月期の純利益はほぼ横ばいだ」と話すシングテルのチュア・ソククーン・グループ最高経営責任者(CEO)=8日、シンガポール中心部(NNA撮影)

シングテルの4~6月期の純利益は、前年同期比35%減の5億4,100万Sドル(約416億円)だった。売上高は1%減の41億1,300万Sドルと伸び悩んだ。

事業別の売上高は、携帯電話サービスが11%減の12億4,500万Sドルと振るわなかった。ITの運用管理を手掛けるマネージドサービスなどの情報通信技術(ICT)はほぼ横ばい。固定電話(21%減)と有料テレビ(23%減)が不調だった。

顧客セグメント別では、個人向けサービスが1%増収だったものの、法人向けは5%減収。オーストラリア子会社のオプタスの業績不振などが響いた。

出資先企業の業績は、インドの携帯電話サービス最大手バルティ・エアテルと同業バルティ・テレコム(BTL)の税引き前損益が1億6,200万Sドルの赤字となり、大幅に足を引っ張った。

シングテルのチュア・ソククーン・グループ最高経営責任者(CEO)は、「エアテルの損失を除けば、4~6月期の純利益はほぼ横ばいだ」と説明した。シングテルはエアテルのバランスシート改善に向けて、今年3月に375億ルピー(約564億円)の増資を引き受けている。

5G移動通信システムについては、シンガポール政府や民間企業と連携しながら、先端製造業や海運業での導入に向けて開発を進めている。オーストラリアでもオプタスが20年3月までに5G通信基地を1,200カ所で整備することを目標にしていると明らかにした。

■スターハブも減収減益

スターハブの業績も悪化している。4~6月期の純利益は3,950万Sドルで、前年同期から36%減少した。売上高も7%減の5億5,280万Sドルで、減収減益となった。

携帯電話サービスや有料テレビ、通信機器販売が2桁の減収だったことが響いた。ブロードバンドサービスも2%減と不振だった。

シンガポールでは過去4年で格安通信会社が相次いで市場参入し、競争が激化している。業界3位のM1は今年4月に上場を廃止し、経営の立て直しを図っている。

シングテルはインドのエアテルの業績が改善する見通しが立たないほか、国内外で5G通信網を構築するコストが重しになる。各社とも当面、収益が低迷する可能性がありそうだ。

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