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【日本】日本企業、中国発の地政学リスクに警戒=PwC[経済](2019/08/02)

会計・コンサルティング大手のPwCジャパンはこのほど、日本企業の地政学リスクへの意識や影響、対応状況の実態調査をまとめた「地政学リスクと企業経営」を発表した。日本企業の懸念する地政学リスクの1位は「米中間の貿易摩擦」で、その他のリスク要因の上位はいずれも中国関連だった。

PwCジャパン地政学リスクチームリーダーの舟引勇氏=7月中旬、東京(NNA撮影)

PwCジャパン地政学リスクチームリーダーの舟引勇氏=7月中旬、東京(NNA撮影)

日本企業の懸念する地政学リスクとして「米中間の貿易摩擦」と回答したのは17.5%でトップ。以下、「中国国内政治・経済の不安定化」(14.5%)、「ロシア・中国・北朝鮮などからのサイバーテロ」、「米・欧州の保護主義政策」、「中国の台頭による周辺国との軋轢(あつれき)」(いずれも7.5%)が続いた。

「今後の事業拡大や投資を控えた方がよい」と思われる国の1位は中国(21%)、2位は韓国(14%)だった。

日本企業の78.7%が「地政学リスクマネジメントは経営戦略で重要と認識している」ものの、39.1%が「未対応だ」と答えた。未対応の原因は、「専門スキルを持つ人材の不在」との回答が31.2%を占めた。

■「カントリーリスク対応」に限界

PwCジャパングループ地政学リスクチームリーダーの舟引勇氏は、欧米企業にはみられない日本企業の課題として、「(各国ごとのリスクを検証する)カントリーリスクの担当者はいるが、将来起こり得る(複数国・複数要因で動く)地政学リスクのシナリオを予想し、社として動くタイミングを決断する人材のいる企業は少ない」と指摘。この解決策としては、「地政学リスクに対し、経営陣自らが取り組むしかない」という。

日本企業は欧州・米国・東アジアなど地域ごとに部署が区分されていることも地政学リスクの対応が遅れる要因となる。舟引氏は「(米中貿易摩擦のようなリスクに対して)部署間で認識にずれがある。しかし、欧米企業は共通の認識で動いており、社内でのずれがない」とも語った。

PwCの地政学リスクチームは、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)対応として発足したが、現在は中国の経済圏構想「一帯一路」、米中貿易摩擦問題にも対象を広げ、企業にコンサルティングを行っている。

PwCは今年3月に調査を行い、海外事業を展開している日本企業の実務担当者258人から回答を得た。詳細は以下のウェブサイトから閲覧が可能。

https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/geopoliticalrisk-and-corporatemanagement1905.html

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