【ベトナム】FA機器市場に意欲、デモ機設置=三菱電機[電機](2019/07/22)
三菱電機は19日、ベトナム南部ホーチミン市のサイゴン・ハイテクパーク(SHTP)内に設置した、ファクトリーオートメーション(FA)機器のショールームの開所式を開催した。同国の製造業が年間10%以上伸びる中、注力分野であるFA機器の販売増につなげる。
研修施設「日越トレーニング・技術移転センター(VJTC)」との協力で、同センター内にショールームを開設した。放電加工機(EDM)2台と産業用ロボット4台を設置。現地に製造拠点を置く日系・地場系メーカーが実機操作やデモ加工ができるようにし、技術トレーニングにも協力する。
「銅で鋼が切れます」――。EDMの担当者は、こう説明する。デモ機として設置したうちの1台は、銅と亜鉛の合金である黄銅を電極として溶融切断するワイヤ放電加工機のうち、高生産性機「MV1200S」だ。太さ0.1~0.3ミリメートルの黄銅ワイヤで、厚さ100ミリまでの鉄鋼を自由自在に切断・加工。電極を自動で交換するシステムも搭載しており、生産性の向上につながるという。
現地法人、三菱電機ベトナムのFA事業部の宮崎一郎ゼネラルマネジャーはNNAに対し、「2014~15年ごろから、ベトナムの工場の自動化需要が高まってきた」と説明する。「世界の工場」である中国から生産を移管する動きがあり、生産性の向上に向けた機械需要も増えているという。ベトナムでは、EDMを累計約300台販売した実績がある。
■松本現法社長「伸びる分野から攻略」
「まず伸びる分野を攻略していく」。三菱電機ベトナムの松本泉社長は、三菱電機グループが手掛ける各事業のうち、いま現地で最も期待できるのがFA機器だと話す。国内総生産(GDP)成長率が7%前後となる中、製造業は2桁成長を記録する。
松本氏は「製造のほか、建設では地方開発も活況だ」と語った。同社と昇降機事業を手掛ける三菱エレベーターベトナムは今月17日、中南部カインホア省ニャチャン市に事務所を開設していた。ホーチミン市やハノイ、中部ダナン市の三大都市に加え、ニャチャンの新たな不動産開発案件に、空調やエレベーターなどを売り込んでいく。
一方、一般消費者向けの家電が多く売れるようになるには、「もう一歩」というのが松本氏の見解だ。ベトナムの1人当たりGDPはまだ3,000米ドル(約32万3,000円)未満で、フィリピンよりも低い。「プレミアム感がある」(同氏)三菱電機のエアコンが本格的に売れるには、もう少し時間が必要とみている。
三菱電機が注力する工場の自動化需要の開拓では、ベトナム側からも日本企業に期待する声が出ている。日越トレーニング・技術移転センター(VJTC)のホアン・テ・バン・ディレクターは「デモ機を設置してもらい、企業間の機械売買の商談がまとまった後は、センターが研修に協力する。もっと多くの企業と提携し、ベトナムの製造業を盛り上げていきたい」と語った。エンジニアの人材育成などで協力していく考えを示した。