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【タイ】19年の成長率見通し、サイアム商銀が下方修正[経済](2019/07/11)

タイのサイアム商業銀行(SCB)傘下の研究所SCBエコノミック・インテリジェンス・センター(EIC)は9日、2019年のタイの国内総生産(GDP)成長率見通しを3.3%から3.1%に下方修正した。5月に3.6%から3.3%に下方修正したのに続き、さらに引き下げた。

2019年のタイの経済見通しについて解説するEICのユンヨン・チーフエコノミスト兼第一上級副社長=9日、バンコク(NNA撮影)

2019年のタイの経済見通しについて解説するEICのユンヨン・チーフエコノミスト兼第一上級副社長=9日、バンコク(NNA撮影)

米中貿易摩擦と世界経済の減退による輸出の縮小や、観光、投資の伸び悩みが経済成長の足かせになるとみている。ユンヨン・チーフエコノミスト兼第一上級副社長は「輸出は米中貿易摩擦の緩和やタイの新政権発足を受け、第4四半期(10~12月)には回復する見込みだが、第3四半期は現在よりも一層減速する」とコメント。19年の輸出成長率の見通しは、0.6%からマイナス1.6%に引き下げた。

また、タイの収入源の一つとなっている観光については、19年の外国人旅行者は前年比4.8%増の4,010万人にとどまり、主要市場の景気減退やバーツ高の影響により旅行者1人当たりの支出も伸び悩むと予測。輸出や観光が伸び悩む中、政府支出が経済成長の鍵となるとの見方を示した。

個人消費の成長率見通しは3.9%としているが、農家の収入の減少や失業率の上昇に伴い自動車販売は減速するとみている。不動産市場についても、タイ中央銀行(BOT)が4月に住宅価格に対するローンの比率(LTV)の上限を定める規制を実施したことから、中国を中心とする外国人の投資が縮小すると予測している。

対米ドルのバーツ相場は、1米ドル=30~31バーツで推移すると予測。中銀は年内は政策金利を現行の1.75%に据え置くとみているが、GDP成長率が3%を下回る場合は、利下げに踏み切る可能性があるとしている。

■民間経済団体も引き下げ

タイ工業連盟(FTI)、タイ商工会議所(TCC)、タイ銀行協会(TBA)から成るタイ商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)も10日、19年のタイのGDP成長率の見通しを2.9~3.3%とし、前回(4月)の3.7~4.0%から引き下げた。世界経済の減退とバーツ高による輸出の伸び悩みが影響するとみている。

19年の輸出成長率の見通しも3.0~5.0%からマイナス1.0~1.0%に下方修正。近く発足する新政権が景気刺激策を打ち出したとしても、世界経済の減退とバーツ高による輸出の伸び悩みによる影響を相殺することは難しいとの見方を示している。インフレ率の見通しは0.8~1.2%に据え置いた。

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