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【台湾】エバー航空、台湾出発便は20日から正常運航[運輸](2019/07/10)

台湾航空大手の長栄航空(エバー航空)はこのほど、一部客室乗務員が実施していたストライキが終結したことを受けて、台湾出発便に関しては20日から正常運航を開始すると発表した。当初は8月初めとしていた正常運航開始の時期が早まる可能性が出ている。労働組合と結んだ新しい労使協約に基づいて、同社は来年から人件費を約2億台湾元(約7億円)増やす見通しだ。

エバー航空は6日にストを主導していた台湾の各航空会社の客室乗務員が加入する労働組合、桃園市空服員職業工会(空服工会)と新たな労使協約を締結。その際、「運航状況は7月中に徐々に回復し、8月初めに正常化する」との見通しを示していた。

だが、エバー航空は台湾出発便に関しては20日から正常運航を開始することを決定。台湾着陸便も、9日午後時点で22日以降の欠航便は発表されていない。

21日の欠航便はシカゴ―台北(桃園)のBR055便やサンフランシスコ―台北(桃園)のBR027便など4便のみで、20日の欠航便も東京―台北(松山)のBR189便など10便にとどまっている。

■来年から人件費2億元増

9日付中国時報によると、新たな労使協約によってエバー航空は来年から人件費を年間約2億元増加する見通しとなった。

主な内訳は、新労使協約に従って、来年から客室乗務員に支給される安全飛行に対するボーナス。支給額は短距離路線が1人当たり300元、長距離路線が500元。

ただ、増加幅は同業大手の中華航空(チャイナエアライン)が2016年に客室乗務員からストを決行された時に比べ、小さく抑えられた。中華航空はストを受けて客室乗務員の海外便手当を2.5倍に増やしたほか、その後に地上職員やパイロットからの賃上げ要求を受け、18年の人件費はスト開始前の15年に比べ約21億元増加した。

一方、エバー航空の人件費は短期的に3億元の削減が見込まれている。ストに参加した約2,000人の客室乗務員に関して、来年の春節(旧正月)前ボーナス「年終奨金」の減額などがあるためという。

■労働部、スト予告制で協議へ

9日付自由時報によると、労働部(労働省)は運輸業界のストが旅客の権益などに大きな打撃を与えるとして、かねて議論の的になっているストの予告制を巡って、近く航空業界の労使双方の代表者や旅行業界の関連団体を交えて話し合いを行う計画を明らかにした。関係者との間で合意が取れれば、予告制導入に向けた法改正に動く方針。

交通部(交通省)は以前から予告制導入に前向きで、今回も王国材次長(次官)が「航空便は他の交通手段による代替が難しい」として、労働部の方針を支持する考えを表明した。

有力経済団体の中華民国全国商業総会も予告制導入に賛成の意を表明。その上で、「旅行やビジネス活動への影響を避けるためには、決行の30日前の予告が必要」との見解を示した。

ストの予告制度は、今年2月に中華航空のパイロットがストを決行した際にも政府内で法制化の動きがあった。だが、ストにかかる手続きが煩雑化することに対して反対の声も根強く、これまで法整備は進んでいなかった。

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