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【タイ】日立、IoTでタイの産業高度化を支援[IT](2019/06/24)

日立製作所は、タイ東部チョンブリ県に開設したモノのインターネット(IoT)の独自基盤「ルマーダ」に特化した施設「ルマーダセンター」を拠点にタイ政府が掲げる産業高度化政策「タイランド4.0」の推進を支援していく方針だ。

「ルマーダセンター」でIoTソリューションの仕組みについて説明する日立アジア(タイランド)の大橋氏(左)とソムサック氏=20日、チョンブリ県(NNA撮影)

「ルマーダセンター」でIoTソリューションの仕組みについて説明する日立アジア(タイランド)の大橋氏(左)とソムサック氏=20日、チョンブリ県(NNA撮影)

ルマーダセンターは、昨年9月にアマタシティーチョンブリ工業団地に開設された。製造業や物流業に向けたビッグデータや人工知能(AI)を用いたソリューションを提供し、事業効率の改善やコスト削減などを支援する。

同施設には、エレベーターのボタンの製造工程を例に日立の運用技術(OT)やITを活用したソリューションを実演紹介する「IoTソリューションルーム」や、顧客が抱える問題を分析する「協創ルーム」などを設置。開設から今年4月末までに同施設を訪れた企業は136社で、受注件数は11件に達した。11件の内訳は日系企業の方が多いが、タイ企業も含まれるという。

日立の現地法人である日立アジア(タイランド)でスマートマニュファクチャリング・IoTビジネスセンターを担当する大橋章宏エグゼクティブディレクターは20日、「本格的に営業を開始した昨年10月から約半年で11件受注できたことは好成績だと考えている」とコメント。今後の受注目標については「具体的な数字は公表できないが、伸ばしていきたい」と述べるにとどめたものの、タイ国内でIoTソリューションを導入している工場がわずか2%にとどまっているとし、伸びしろは大きいとの見方を示した。

日立のIoTソリューションは、蓄積された活用事例を他の事例にも適用できることが特徴の一つとなっている。タイでは、日立金属の現法である日立メタルズ(タイランド)のチョンブリ工場に導入し、作業の改善活動が従来の月1回から毎週できるようになり、生産性向上を実現したという。

■タイを拠点にASEANへ

ルマーダセンター事業は、スマート工場化(フェーズ1)、物流の効率化(フェーズ2)、公共・行政サービスの効率化(フェーズ3)の3つのフェーズに分けて進められている。まずはタイ国内で事業を展開し、将来的には東南アジア諸国連合(ASEAN)で市場を拡大させていく計画だ。

日立アジア(タイランド)でチーフマーケティングディレクターやゼネラルマネジャーなどを務めるソムサック氏は「タイ以外では、ベトナムやミャンマー、マレーシアが有望とみている」とコメント。「特にベトナムは国を挙げてIoTに注力していることから、データを収集しやすい」と話し、市場拡大に期待を示した。

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