【中国】ロシアと関係深化へ共同声明、米をけん制[経済](2019/06/10)
中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は5日、モスクワで首脳会談を行い、両国の新時代に向けた全面的戦略パートナーシップの強化をうたった共同声明を発表した。国際関係ではトランプ米政権を念頭に、多国間主義の堅持と、一方的な貿易制裁を含む保護主義反対を強調した。新華社電が伝えた。
共同声明は、今年、国交樹立70周年を迎える両国の関係が歴史的に最良の状態になっているとした上で、新時代の全面的戦略パートナーシップの方向性を提示。習近平政権が推し進める現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」をロシアが、ユーラシア経済連合(EEU)の枠組みによるユーラシア地域一帯化を中国がそれぞれ支持し、一帯一路とEEUのマッチング強化を進めるとした。
経済関係では貿易の規模拡大や貿易構造の高度化、電子商取引(EC)やサービス貿易の協力深化、戦略的大型プロジェクトの実施、両国を結ぶ天然ガスパイプラインの年内稼働を含むエネルギー分野の全面的な協力深化、2020年と21年の中国・ロシア科学技術イノベーション年の相互開催など、幅広い分野で関係を深めることをうたった。
■貿易額2千億ドルに
中国商務省の高峰報道官は6日の定例会見で、習主席のロシア訪問とプーチン大統領との首脳会談で、中ロ両国の経済関係強化に関する多くの重要な合意が成立したと強調した。例として、同省とロシア経済発展省が調印した覚書により、両国の貿易額を年2,000億米ドル(約21兆6,300億円)に拡大する目標が設定されたことなどを挙げた。
高氏はまた、両国の企業が原子力、天然ガス化学工業、自動車製造、ハイテク団地開発、EC、第5世代(5G)移動通信システムなどの分野で10件を超える契約を締結し、その総額は200億米ドルを超えると説明した。農業分野では、大豆の貿易と関連産業チェーンの育成などで協力を深める合意文書に調印。中国は貿易摩擦によって25%の追加関税を米産大豆に課しており、ロシア産大豆の輸入拡大などを図るものとみられる。