【香港】本土銀が香港で迂回融資、金融当局が指摘[金融](2019/04/26)
香港金融管理局(HKMA)と香港の証券先物委員会(SFC)は24日、中国本土のある銀行が香港を経由して「厳重な注意を要する、不透明で複雑な資金取引」を行っていたことが調査で判明したと発表した。「香港の子会社が私募ファンドに投資するための資金を貸し付ける」ことが表向きの理由だが、実際は香港上場会社の株式を担保としたリスクの高い融資だったことを確認した。25日付明報などが伝えた。
SFCによると、該当の銀行の香港子会社は、事業の運転資金として親銀行から資金を借り受け、その調達資金を私募ファンドへの巨額投資に充当した。このファンドの唯一の目的は、ある香港上場企業の大株主が設立した特別目的会社(SPC)に有担保融資を提供することで、その担保対象は主に同上場企業の株式とされた。融資条項には、「融資額と担保価値の比率が一定水準を超過した場合は、債権者が現金もしくは証券を追加担保として供出する」と定められていた。
調査を通じてSFCは、この有担保融資が、同上場企業の大株主が保有する別の事業会社が債務の返済資金を工面する目的だったことを突き止めた。
HKMAとSFCは立ち入り検査を通じて、問題となっている融資に絡み、本土の銀行の審査と融資後の資金チェックに不備があったことも確認した。
香港で業務展開する本土の別の銀行も、複雑なスキームを通じて、透明性に欠ける融資を行い、香港取引所(HKEX)に隠れた金融リスクをもたらしている可能性があるとして、HKMAとSFCは本土の監督機関と連携して監視を強めていくと表明した。
HKMAとSFCは今回の報告で、問題の銀行名や企業名を伏せたが、証券アナリストの間では、中国民生銀行、本土不動産開発大手の緑地控股集団(緑地集団)の香港子会社である緑地香港控股が関与しているとの指摘がある。ただ、緑地香港控股は25日、関与を否定する声明を発表した。