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【台湾】郭台銘氏の出馬表明、財界の反応は冷ややか[政治](2019/04/19)

EMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手、鴻海精密工業の郭台銘董事長が17日、2020年1月の総統選に出馬する意向を表明した。最大野党、中国国民党の公認候補を決める予備選に参加する。鴻海を世界最大手の企業に成長させた郭氏の出馬は、台湾の政財界に波紋を呼んでいる。

郭氏は17日に国民党本部で、「公正で透明な制度が定められれば、国民党の党内予備選に出る意向はある」と宣言。その上で、「企業家という身分とは別の可能性を探っている。別の身分になる可能性は非常に大きい」と述べた。

ただ、郭氏の出馬に対する財界の反応は冷ややかだ。主要経済団体、中華民国工商協進会の林伯豊理事長(台湾玻璃工業の董事長)は、「台湾をどのような方向に導いていくのかが明確であってこそ、票が集まる。知名度では勝てない。工商協進会は韓国瑜・高雄市長を支持する」と表明。大手デベロッパー、威京総部集団(コアパシフィック・グループ)の沈慶京総裁も、「郭氏は出馬に伴い大きな犠牲を払うだろう」と述べた。

国民党の予備選は6月頃に行われる見通しで、同党では既に朱立倫前新北市長と王金平前立法院長(国会議長)が出馬の意思を表明している。朱氏は、「企業家が政治に参画するということは、民主進歩党(民進党)政権がいかに台湾経済を悪化させたかを表している」とコメント。一方の王氏は、「党内予備選で誰が選ばれたとしても、総統選では一致団結して戦う」と語った。

台湾の政治事情に詳しい小松大学の酒井亨准教授はNNAに対し、「国民党支持層の中では既に、出馬がささやかれている韓国瑜・高雄市長の支持を超えているようだが、党としては安全パイの朱氏を押す可能性もある」と分析。また、「郭氏の支持層ははっきりしない。話題性はあるが、実際に票が集まるかどうかは未知数だ」として、「企業経営と政治は別物。郭氏は米国や中国、日本とのつながりを持っているが、あくまで商売人だ」と指摘した。

国民党の呉敦義党主席(左)から栄誉状を受け取る郭台銘氏=17日、台北(中央通信社)

国民党の呉敦義党主席(左)から栄誉状を受け取る郭台銘氏=17日、台北(中央通信社)

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