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【ミャンマー】中緬回廊、第3国を排除せず=DICA局長[経済](2019/02/14)

ミャンマー投資委員会(MIC)の事務局、投資企業管理局(DICA)のアウン・ナイン・ウー局長は13日、東京で開催された投資誘致フォーラムで、同国と中国が進める「ミャンマー・中国経済回廊」開発について「全ての国に開かれている」として、日本も含めた第3国の企業による参画も歓迎する意向を示した。

同局長は、ミャンマーと周辺国を結ぶ交通インフラ整備に関する質問への回答として、明らかにした。ミャンマー・中国経済回廊は、中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」の一環。中国雲南省と国境を接する北東部シャン州ムセから西部ラカイン州チャオピューまでを横断するルートを大動脈に、第2都市マンダレー、首都ネピドー、最大都市ヤンゴンにかけて輸送網の整備や都市開発を行う構想だ。中国主導のインフラ整備にミャンマーが組み込まれる動きとみられていた。

アウン・ナイン・ウー局長は、「ミャンマー・中国経済回廊は、両国の投資家のためだけにあるのではない」として、インフラ整備の具体化にあたっては他国からの参加も受け入れていく意向を示した。「具体的な事業の優先順位などは、両国で協議を進めているところだ」という。

また、タイと日本が支援する南部タニンダーリ管区ダウェー経済特区(SEZ)と、最大都市ヤンゴン近郊で日本とミャンマーの官民が共同開発するティラワSEZの優先順位を聞かれた同局長は、「ティラワの方が優先度が高い」と明言した。「まずティラワを優先する。ただし、将来は戦略的にダウェーも重要になる」と述べた。まだ計画段階のダウェーに対して、ティラワは既に企業も多数進出している。ミャンマー国内にはほかに、計画段階のSEZとして中国主導のチャオピューSEZがラカイン州沿海部にある。

■ティラワの労働者供給に余力

ティラワSEZについては、同SEZ管理委員会で運営支援アドバイザーを務める松井洋一氏が最新状況を解説した。同SEZは日本の支援などでインフラ整備が進み、50年間の土地サブリース権などの非財政的優遇措置や、ワンストップサービスセンター(OSSC)による迅速な行政を強みに、1月末時点での投資認可件数は105件に達している。

同SEZの労働力需給について質問を受けた松井氏は、「ここのところ急激にワーカーの需要が高まっている」と述べ、以前ほど労働力確保が簡単ではなくなっているとの見解を示した。ただ近隣の村落の指導者や管理委員会を介した求人、企業による通勤バス運行などにより「さしたる問題は起きていない」と説明した。

アウン・ナイン・ウー局長は、政府の最近の投資誘致政策を紹介した。政府は2017年の新投資法、18年の新会社法施行などによる投資手続きの簡素化に加え、教育や流通、保険分野での外資規制緩和に取り組んでいる。同局長は、18年10月に発表された世界銀行の「ビジネス環境ランキング」で171位だった順位を「3年で100位以内に引き上げることを目標としている」と説明した。また企業の事業環境を改善するために関係省庁と策定中の行政に関する業務手順書(SOP)について、向こう数カ月で完成し、「投資家にやさしく、業務を効率化・簡略化するものとなる」と期待を語った。

投資フォーラムは、国際機関の日本アセアンセンターと在日本ミャンマー大使館の主催。年1回ペースで開催されており、13日は6回目の開催で、約170人が参加した。同様のフォーラムは、きょう14日に福岡市内でも開催される。

ミャンマーの投資政策について説明するDICAのアウン・ナイン・ウー局長(右から2人目)とティラワSEZ管理委の松井アドバイザー(右)ら=13日、東京(NNA)

ミャンマーの投資政策について説明するDICAのアウン・ナイン・ウー局長(右から2人目)とティラワSEZ管理委の松井アドバイザー(右)ら=13日、東京(NNA)

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