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【シンガポール】高知県、ブンタン・小夏を飲食店でPR[農水](2019/01/30)

高知県シンガポール事務所は、ブンタンや小夏などの県産かんきつ類をPRするプロモーションをシンガポールの飲食店5店で実施する。開催期間は今月28日から3月上旬まで。県特産品であるユズが既に浸透している同国で、ユズに続く「次の仕掛け」として他のかんきつ類の認知度向上を図り、販促につなげたい考えだ。

「アンティ・ドート」では、ブンタンや小夏を中心とした高知県産かんきつ類を使ったカクテルなどを2月2日まで提供する=28日、シンガポール中心部(NNA撮影)

「アンティ・ドート」では、ブンタンや小夏を中心とした高知県産かんきつ類を使ったカクテルなどを2月2日まで提供する=28日、シンガポール中心部(NNA撮影)

高知県シンガポール事務所は、今回のプロモーションに合わせてシンガポールの飲食店5店にブンタンや小夏の加工品などを無償で提供する。同事務所の浅井孝則副所長によると、プロモーション用にブンタンの果実60キログラムのほか、ブンタン、小夏、ユズの果汁各10リットル、ブンタンと小夏の粉末やドライフルーツ各500グラムを用意した。商品は白木果樹園(土佐市)と岡林農園(越知町)が提供している。

■日本語の名称でPR

高知県は「かんきつ王国」と呼ばれるほどかんきつ類の生産が盛ん。日本一の生産量を誇るユズは、シンガポールで既にその名前が広く知られているため、同事務所では県産の他のかんきつ類のPRに力を入れる意向で、今回は特に生産量が多いブンタン(日本で生産量1位)、小夏(同2位)のプロモーションを実施する。

ブンタンは、シンガポールで出回っているポメロ(ザボン)と形状は似ているが味は異なり、価格帯も高い。既存の果物とは違うことを印象付けるため、シンガポールではユズと同様に「ブンタン」「コナツ」と日本語の名称をあえて使用している。

高知県シンガポール事務所は2018年3月、多様なかんきつ類をPRする取り組みとして、世界的に活躍するシンガポールの若手女性パティシエ、ジャニス・ウォン氏を招き、ユズ、ブンタン、小夏、直七(なおしち)という県産かんきつ類4種を使った外食産業向けの新作メニュー発表・試食会をシンガポールで開催した。同事務所の遠藤彰所長によると、今回のプロモーション実施店5店には、前回の発表・試食会に参加した店舗も含まれる。

5店は、◇中心部にあるホテル「フェアモント・シンガポール」内のバー「アンティ・ドート」◇モダン欧州料理レストランの「シェフズ・テーブル・バイ・シェフ・ステファン」◇会員制クラブの「ストレーツ・クラン」◇カクテルバーの「IB HQ」◇オーストラリア料理レストラン「ソルテッド・アンド・ハング」。シンガポールの飲食業界に詳しい現地コーディネーターが選定した。バーやレストランなど異なる営業形態の店で、多様なメニューを提供してもらう狙いがある。

■どんなカクテルにも合うかんきつ類

5店は3月上旬までの期間中、ブンタンや小夏の加工品を使って各店が独自に考案したメニューを提供する。ちょうど旧正月(春節)に合わせてかんきつ類の需要が増える時期で、消費者の関心を集めやすい面もある。

28日には、アンティ・ドートが5店の中で最初にプロモーションを開始。カクテルやノンアルコール飲料、タパス(小皿料理)に高知産かんきつ類を使った「高知フルーツ」フェアを2月2日まで開催する。「トサ・パロマ(テキーラやかんきつ類を使ったカクテルの種類)」と呼ばれるカクテルには、ブンタン果汁やココナツソーダなどを使用。同店のバーテンダーは、「ブンタンは少し苦味があり、小夏はフレッシュな味わい。どんなカクテルにも合ってバランスが取れる」と話した。

浅井副所長は、「ブンタンや小夏をいきなり消費者に提供しても食べ方が分からないだろう。まずはBtoB(企業間取引)でPRして存在を知ってもらうことで、外食業界での横の広がりに期待している。その上で将来的に消費者にも浸透させていきたい」と話した。

高知県産の農林水産物(加工品を含む)の輸出額(16年)を国・地域別に見ると、シンガポールが1億8,985万円で2位の米国(1億3,361万円)を大きく引き離して1位となっている。シンガポール向けの輸出品には、ユズや山北みかん(高知特産の温州みかん)といったかんきつ類のほかに、みょうがやネギなどの野菜、うなぎなど多様な食材・食品がある。同事務所が積極的に販促活動を行っていることが、輸出が好調な要因の一つとなっている。

「アンティ・ドート」で提供される高知県産かんきつ類を使った飲み物や料理=28日、シンガポール中心部(NNA撮影)

「アンティ・ドート」で提供される高知県産かんきつ類を使った飲み物や料理=28日、シンガポール中心部(NNA撮影)

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