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非居住者の源泉徴収について

camera_alt (写真=Szocs Jozsef /Shutterstock)

グローバル化が進む中、海外でのビジネスを展開したり、外国法人との取引を行ったりする事業者の方も多いと思います。その際に問題となるのが源泉徴収です。非居住者の源泉徴収は、税務調査においても注目される項目の一つです。どのような場合に非居住者の源泉徴収が必要になるのかをご紹介いたします。

源泉徴収の対象

日本の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
非居住者又は外国法人(以下「非居住者等」といいます。)に対して、国内において源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払をする者は、その支払の際、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収し、納付する義務があります。
国内源泉所得の支払が国外において行われる場合には、原則として源泉徴収の必要はありませんが、その支払者が国内に住所若しくは居所を有し、または国内に事務所、事業所その他これらに準ずるものを有するときは、その支払者がその国内源泉所得を国内において支払ったものとみなして源泉徴収をする必要があります。

国内源泉所得

国内源泉所得としては以下のものが挙げられます。
(1) 恒久的施設帰属所得、国内にある資産の運用又は所有により生ずる所得、国内にある資産の譲渡により生ずる所得
(2) 組合契約等に基づいて恒久的施設を通じて行う事業から生ずる利益で、その組合契約に基づいて配分を受けるもののうち一定のもの
(3) 国内にある土地、土地の上に存する権利、建物及び建物の附属設備又は構築物の譲渡による対価
(4) 国内で行う人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価
例えば、映画俳優、音楽家等の芸能人、職業運動家、弁護士、公認会計士等の自由職業者又は科学技術、経営管理等の専門的知識や技能を持つ人の役務を提供したことによる対価がこれに当たります。
(5) 国内にある不動産や不動産の上に存する権利等の貸付けにより受け取る対価
(6) 日本の国債、地方債、内国法人の発行した社債の利子、外国法人が発行する債券の利子のうち恒久的施設を通じて行う事業に係るもの、国内の営業所に預けられた預貯金の利子等
(7) 内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配等
(8) 国内で業務を行う者に貸し付けた貸付金の利子で国内業務に係るもの
(9) 国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料、又はその譲渡の対価、著作権の使用料又はその譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るもの
(10) 給与、賞与、人的役務の提供に対する報酬のうち国内において行う勤務、人的役務の提供に基因するもの、公的年金、退職手当等のうち居住者期間に行った勤務等に基因するもの
(11) 国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品
(12) 国内にある営業所等を通じて締結した保険契約等に基づく年金等
(13) 国内にある営業所等が受け入れた定期積金の給付補てん金等
(14) 国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約等に基づく利益の分

(15) その他の国内源泉所得
例えば、国内において行う業務又は国内にある資産に関し受ける保険金、補償金又は損害賠償金に係る所得がこれに当たります。

これらについての課税方法は、国内源泉所得の種類、恒久的施設の有無、国内源泉所得が恒久的施設に帰せられる所得か否かによって異なります。なお、租税条約によって国内源泉所得について異なる定めがある場合は、租税条約に従うことになります。
また、(1)、(15)以外は源泉徴収の対象となります。

非居住者の源泉徴収の税率は20.42%です。源泉徴収した税額は、非居住者用の納付書にて、支払いの翌月10日までに納付しなければなりません。

居住国(海外)と所得を得た国である日本の双方で同時に課税されることで生じる国際的な二重課税を避けるために、日本は平成30年3月1日現在、約123か国・地域と租税条約を締結しています。租税条約を締結している国であれば「租税条約に関する届出書」をあらかじめ日本の税務署へ提出することで、源泉徴収の減免や免除を受けることができる場合がありますので、租税条約の確認が必要です。

非居住者の源泉徴収は、国内源泉所得の判断や、租税条約に関する届出など、取り扱いが難しい場合がありますので、事前に専門家へ問い合わせすることをお薦めいたします。


南青山リーダーズ株式会社 編集部

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