確定申告とその対象となる所得について
所得税を正しく計算するために確定申告という制度が存在します。
収入があるのに申告をしないでおくと、追徴金や重加算税を余分に支払うことになったり、場合によっては悪質と判断されて(脱税しようとしたとして)刑事罰を受ける可能性もあります。
申告の対象となる所得についてまとめてみました。
1.利子所得
公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益の分配などから生じる所得をいいます。
海外の金融機関口座の利子などが代表例です(受け取るときに日本の税金が差し引かれない(源泉徴収されない))。
なお、
- 社長が自分の会社にお金を貸し付けて、利息を受け取る場合
- 事業とは関係なく、友達や知人に個人的にお金を貸したときに受け取る利息は、雑所得になります。
- フリーランス・個人事業主が、取引先や従業員にお金を貸したときに受け取る利息
は、事業に付随するものとして事業所得になります。
2.配当所得
株式の配当、証券投資信託の収益の分配、出資の剰余金の分配などから生じる所得をいいます。
ただ
- 上場株式に該当しない(未上場株)株式の配当について、その額が少額である場合
- 大口株主(発行株済株式総数の3%以上を保有する株主)を除く個人が受ける上場株式等の配当等
に該当する場合は申告不要です。ほとんどの個人投資家はこの後者の要件を満たすため、配当所得に対する税金に関しては、配当金受け取り時に源泉徴収されるだけで課税関係は終了し、確定申告をする必要はありません。
3.不動産所得
不動産、土地の上に存する権利、船舶、航空機の貸付けなどから生じる所得をいいます。
個人が不動産を貸し付けて得た収入から、経費を引いた金額が不動産所得となります。収入には、毎月の賃料はもちろんのこと、礼金や更新料など不動産を貸し付けることで受け取る対価が含まれます。また、経費に含まれるものとしては、減価償却費(土地の貸し付けについては減価償却費はなし)、固定資産税、損害保険料、建物の修繕費のほか、打ち合わせ代、交通費など不動産の貸し付けを行うにあたって発生した支出が該当します。
4.事業所得
商業・工業・農業・漁業・自由業など、事業から生じる所得をいいます。
事業とされる要件は、だいたい以下になるといわれています。
- 自己責任で行われている(出来高制など報酬が成果で定められている、必要な費用は自分で負担している)
- 営利性がある
- 反復継続している
5.給与所得
給料・賞与などの所得をいいます。
給与とされる要件は、以下になるといわれています。
- 雇用契約が存在する(これは必ずしも書面に限りません)
- 使用者の指揮命令に服する
- 使用者から空間的および時間的な拘束を受ける
- 職務上の費用が使用者の負担となる
6.退職所得
退職によって受ける所得をいいます。
7.山林所得
5年を超えて所有していた山林を伐採して売ったり、又は立木のまま売った所得をいいます。
8.譲渡所得
事業用の固定資産や家庭用の資産などを売った所得をいいます。
ただ、譲渡所得であっても資産によって課税対象となるもの、ならないものがあります
課税対象とならない資産は以下のとおりです。
- 破産手続きや債務の弁済のために、公権力が強制的に資産を譲渡したことによる所得。またはそれに準じる場合で、譲渡代金の全てが債務の弁済に当てられた場合
- 国税庁長官の承認を受けた財産の寄付
- 国等に対して重要文化財を譲渡した場合の所得
- 財産を相続税の物納に充てた場合の所得
- 中小企業の取締役等が、債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の所得
- 不動産以外の生活に用いる財産の譲渡による所得
また、資産の譲渡による所得でも、その資産によっては、事業所得や雑所得として課税されるものもあります。譲渡所得と間違えやすい主なものは以下のとおりです。
- 事業用の棚卸資産
- 10万円未満の減価償却資産
事業所得又は雑所得になります。
- 山林
山林所得、事業所得又は雑所得になります。
何かしら収入があった場合、後でトラブルにならないために、また余分に税金を払う羽目にならないためにも、収入があったときには申告すべき収入かどうかを常に考えるようにしましょう。
南青山リーダーズ株式会社 編集部