確定申告のシーズン到来!ビットコインなどの仮想通貨で利益が出たら?

B4637de3 36a8 4c5a b1f8 d5e6bcd5800e camera_alt (写真= Panchenko Vladimir /Shutterstock)

最近メディアでも取沙汰される「仮想通貨」。もし、仮想通貨を使用することで利益が生じたのであれば、税金のことも考えなければなりません。そこで今回は、確定申告に向け、仮想通貨に関する所得税の取り扱いについて紹介します。

仮想通貨元年と呼ばれた2017年

ビットコインなどの仮想通貨が投資目的に爆発的に取引された2017年。
今のところ価格上昇の勢いが弱まる様子も見えず、仮想通貨は様々な書籍やサイトで優良投資先として紹介されるなどしています。
一部では、2018年もどんな仮想通貨を買っても高騰するという声もあり、利用できる通販が堅調に増えており、首都圏では、仮想通貨決済のできる飲食店なども増えはじめています。
そんな中、国税庁は仮想通貨に関する税制について下記のように発表しました。
いままで、曖昧だったビットコインをはじめとする「仮想通貨税制」が、従来より明確化されたのです。
「No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」
[平成29年4月1日現在法令等]
ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。(所法27、35、36)
つまり、2017年中に仮想通貨を換金したり、仮想通貨を用いて何かを購入したりして、利益が生じた場合には、2017年(平成29年)分の所得税が課されるため、2018年3月15日までに確定申告を済ませ、納税しなくてはなりません。

株などとは異なり、雑所得の扱い

仮想通貨は「雑所得」として区分されたことから、所得税の一部となり、「累進課税」が適用されます。
そのため、所得(仮想通貨の売買で獲得した利益)が大きくなるにつれ、税率が高くなることも注意が必要です。
今回仮想通貨に関して国税庁が出した「雑所得」という結論は、おそらく投資家にとっては厳しい判断になったと考えられます。
所得の種類には、事業所得、給与所得など、全部で10種類あります。雑所得はそのほかの9種類のいずれにも当たらない所得をいい、たとえば公的年金や、作家以外の人が受ける印税、サラリーマンがインターネットオークションで得た副業収入などが該当します。
この雑所得が「厳しい判断」と考えられる理由は、以下の3点にあります。

(1)他の所得と損益通算できない
(2)損失を繰越控除できない
(3)累進税率が適用される

まず(1)について。
損益通算とは、ある所得で発生した損失を、他の所得から差し引くことです。例えば、個人事業主の「事業所得」は損益通算が認められているため、事業所得で赤字が出た場合、ほかに給与所得があれば、給与所得から事業所得の赤字を差し引いて、所得税を計算することができます。
ところが雑所得の場合は、損益通算が認められません。いくら仮想通貨の取引で赤字が出たとしても、他の所得区分から差し引くことはできないのです。ただし年金や副業の所得など、他に雑所得となるものがあれば合算することができます。
次に(2)の繰越控除について。
現在、繰越控除が認められているものとして、上場株式等を売却したときの譲渡損失があります。その年に出た譲渡損失を翌年以降3年間繰り越して、利益が出たタイミングで合算することができます。

一方、繰越控除が認められない仮想通貨の取引では、例えば、2017年分で100万円の赤字、18年分に200万円の黒字が出た場合、100万円の損失は何ら考慮されず、200万円の利益に対して所得税が課せられることになってしまいます。

最後に(3)で挙げた税率について。
株・投資信託などの投資によって得られた利益(特定口座、少額投資非課税制度(NISA)など確定申告が不要なものを除く)は雑所得ではなく、譲渡所得という区分になり、「申告分離課税」です。
申告分離課税とは、その名の通り、ほかの申告とは分離して考える税金のことです。
株式等の譲渡による事業所得の金額の20%(所得税15%、住民税5%)を税金として納めます。この税率は株取引でいくら儲かったとしても変わりません。

(注) 平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。
一方、ビットコインなどの仮想通貨で得た利益は、国税庁では雑所得の扱いとなっています。
つまり、ほかの所得(配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、総合譲渡所得、一時所得など)の合計金額と合わせて、所得税と住民税を計算する「累進課税」です。利益が増えれば増えるほど、税率も高くなるので注意が必要です。

所得税の速算表

課税される所得金額

税率

控除額

195万円以下

5%

0円

195万円を超え 330万円以下

10%

97,500円

330万円を超え 695万円以下

20%

427,500円

695万円を超え 900万円以下

23%

636,000円

900万円を超え 1,800万円以下

33%

1,536,000円

1,800万円を超え4,000万円以下

40%

2,796,000円

4,000万円超

45%

4,796,000円

日本の所得税は累進課税という高額所得者ほどより高い税率が課されるという課税方式を採用しており、その最大の税率は45%になっていますので、投資という面では注意が必要といえるでしょう。

仮想通貨の取引明細(確定申告に必要な書類)

では、いざ確定申告をする際に、仮想通貨に関して準備する書類は、「仮想通貨の取引明細」です。
取引明細の提出義務はありません。しかし、税務調査において税務署から指摘があった時に必須の書類となります。データでも紙でも構いませんが、必ずご自身で保管しておきましょう。
税理士など専門家に依頼される場合も、この取引明細が必要となりますので、複数の仮想通貨を扱っている方は事前にご準備されることをお勧めします。

終わりに

以上のように、所得税の扱いとしては不利な面が否めない仮想通貨。しかし、今後扱いが変わる可能性もないわけではありません。過去にも、税制改正により取り扱いが大きく変わる事例はありました。
例えば、FX取引は、2011年(平成23年)分の所得税までは、一部の商品を除いて雑所得として、総合課税方式により課税されていました。ところが平成24年分以降は、分離課税方式が適用されることとなり、一律20%の税率が適用されるようになったのです。もともと給料がなく税率が低い専業主婦などは別として、多くの人にとっては、FX取引に伴う税率は下がったことになります。しかも、損失が発生した場合は3年間の繰越控除も認められることになり、所得税の扱いとしては、かなり有利となりました。
仮想通貨についても、ひとまず国税庁からタックスアンサーによる見解が示されたものの、取り扱いが定まったとは言い難く、今後、法律や通達により取り扱いが明らかにされると考えられます。さらに、仮想通貨を取り巻く状況や、裁判の結果などを受けて、取り扱いが変わる可能性は十分にあるでしょう。
なお、国税庁ホームページでは、ビットコインと記されていますが、ビットコイン以外の仮想通貨で利益が出た場合も、同じような考え方ととらえることができます。ただし、扱いが明確でない部分もあるため、確定申告の際には、しっかり確認し、適正に納税をしましょう。

南青山リーダーズ株式会社 編集部


関連記事

アクセスランキング

  • DAILY
  • WEEKLY
  • MONTHLY

公式Facebookページ

公式Twitterアカウント