スタートアップの資金調達・ビジネスマッチングサイト

タックスヘイブンとは

近年の税制改正では、消費税や所得税の増税に話題が集まることが多くなりましたが、法人税は減税される傾向にあります。実は昭和59年の法人税率43.3%から年々減税され、平成29年現在は23.4%まで税率は下がりました。なぜ法人税はここまで減税されてきたのでしょうか。実は諸先進国は法人税を減税せざるを得ない状況にあるのです。今回は法人税減税の要因のひとつとなっている、タックスヘイブンについて解説します。

タックスヘイブンとは

タックスヘイブン(租税回避地)とは、外国資本や外貨獲得のために意図的に税金を軽減ないし免除している国や地域のことを指します。タックスヘイブンは自国の産業を持たない小さな国々が行っている場合が多く、モナコ公国、サンマリノ共和国などが有名です。アジア圏は香港、マカオ、シンガポールなども税率が大変低く、租税回避地とみなされます。自国の産業を持たない国は経済政策対策として、税金をゼロにすることによって外国企業や大富豪たちの資産を集め、経済発展を目指しています。一方の先進諸国は、自国からタックスヘイブンに資金が流出するのを抑制するため、減税せざるを得なくなっています。


相続税対策としてのタックスヘイブン

タックスヘイブンで租税回避できるのは法人税ばかりではありません。かなりの富裕層でなければ効果的ではありませんが、相続税対策としてもタックスヘイブンが利用されてきました。よく用いられる方法としては、『タックスヘイブンに移住する』、『外国法人を設立する』、『タックスヘイブンを経由して贈与』の3種類があります。


1. タックスヘイブンに移住する

被相続人と相続人を含めた親族全員でタックスヘイブンに移住してしまうという、単純明快な方法です。ただし、平成29年4月から税法の改正より、移住してから10年以上経過しなければ、日本国籍を保有していると国内・国外すべての財産が課税対象になります。さらに資産を海外に持ち出す場合、1億以上の資産に対しては所得税が課税されます。


2. 外国法人を設立する

タックスヘイブンに会社を設立し、資産を外国法人に移動するという方法です。外国法人の設立自体は現地のコンサルティング会社等に依頼すれば日本国内からでもできます。会社の資産に対してはもちろん相続税はかかりません。しかし、会社の株式に対する相続税はかかることになります。


3. タックスヘイブンを経由して贈与

タックスヘイブンの会社を経由して間接的に贈与する方法です。会社から親族に贈与する場合、日本では財産を時価で渡したとして法人税がかかりますが、法人税がかからないタックスヘイブンの場合は無税です。贈与された譲受人には所得税がかかります。


タックスヘイブン対策税制

そんなタックスヘイブンですが、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)によって、対策がすでに進んでいます。具体的には外国関係会社のうち、税負担が著しく軽いとされる、特定外国子会社については、親会社等である内国法人が保有する株式等に対応するものとして計算された金額を、その内国法人の所得の額とみなして、内国法人の所得に合算して課税されます。つまりタックスヘイブンで得た所得も内国法人の課税対象になる可能性があります。
具体的な要件として、特定外国子会社等に該当し、適用除外基準をすべて満さないか、適用除外基準を満たす場合は資産性所得があるかで合算課税の対象となります。


特定外国会社等は、居住者・内国法人が合計50%超を直接及び間接的に保有しており、かつ租税負担が20%を満たない国に所在する外国法人のことを指します。さらに適用除外基準は『事業基準』、『実体基準』、『管理支配基準』、『所在地国基準』の4つをすべて満たす必要があります。つまり実体のない、租税回避を目的に設立された外国法人を淘汰するための法律です。
最近ですと、サンリオが香港法人2社に対して外国子会社合算税制の適用を受け、約11億円の追徴課税を受けたと発表しています。サンリオ側は、租税回避のために子会社を作ったのではないとして、当局に対しての自社の正当性を訴えていくと発表しています。

莫大な資金や財産がタックスヘイブンに流出することにより、諸先進国の税収が減少しているという点だけではなく、タックスヘイブンがテロ組織の資金管理に利用されているという点も指摘されることがあります。世界経済のためだけではなく世界平和のためにも、諸先進国のタックスヘイブン対策が強まっているといえます。

南青山リーダーズ株式会社 編集部


関連記事

公式Facebookページ

公式Xアカウント