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グループ法人税制(譲渡損益調整資産)

(写真= KIRATIYA KUMKAEW /Shutterstock)

はじめに

100%グループ内の法人間取引について、一定の制限があるのをみなさんはご存知でしょうか。
今回は帳簿価額1,000万円以上の資産(以下「譲渡損益調整資産」という)を100%グループ内で譲渡した場合の、法人税の取り扱いについて触れていきます。

1. 制度の概要

100%グループ内の法人(完全支配関係がある内国法人)の間で譲渡損益調整資産を譲渡した場合には、その譲渡損益調整資産に係る譲渡損益は繰り延べられます。
つまり、譲渡損益調整資産の譲渡により生じた譲渡益は譲渡のあった事業年度の益金の額に算入されず、譲渡損は損金の額に算入されません。
その資産が譲受法人からグループ外に譲渡されるなどの事由が生じた場合には、譲渡法人において繰り延べた譲渡損益が計上されます。

実際に譲渡法人の会計処理や申告調整はどのようになるのか、例を使って見てみましょう。

例1)100%グループ内で譲渡損益調整資産を譲渡した場合
前提:第2期においてA社(譲渡法人)が100%グループ関係にあるB社(譲受法人)に土地(簿価2,000万円)を3,000万円で譲渡した場合

会計上は譲渡益1,000万円が計上されますが、申告調整により譲渡利益額に相当する金額(1,000万円)が第2期の損金の額に算入されます。
仮に第2期において他に取引がなかったら、この期の課税所得はゼロとなります。

例2)第3期にB社が例1で譲り受けた譲渡損益調整資産を100%グループ外であるC社に全部譲渡した場合



B社が100%グループ関係のないC社に譲渡損益調整資産を譲渡したため、A社において第2期に繰り延べた譲渡利益額に相当する金額(1,000万円)が第3期の益金の額に算入されます。

2. 100%グループ(完全支配関係)とは

①当事者間の完全支配関係
②一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係
(注)個人株主の場合には、株主の親族等も含んで判定します。

(①の具体例)                  (②の具体例)


3. 譲渡損益調整資産の範囲

①固定資産 ②土地(土地の上に存する権利を含み、固定資産に該当するものを除く) ③有価証券(売買目的有価証券を除く) ④金銭債権 ⑤繰延資産
譲渡直前の帳簿価額が1,000万円に満たない資産は、譲渡損益調整資産から除かれます。

4. 譲渡損益の計上

次の事由が生じた場合には、譲渡法人において譲渡損益が計上されます。
・譲渡損益譲渡資産の譲渡、貸倒れ、除却等
・譲渡法人と譲受法人との間に100%グループ関係を有しないこととなったとき

おわりに

今回紹介したのは、あくまでもグループ法人税制の一例にすぎません。
実際に取引を行う場合には、担当税理士によくご相談ください。

南青山リーダーズ株式会社 編集部