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利益?所得? 収益?益金? 費用?経費?損金? 違いは何?~会計と税務の違いを理解して節税対策をする~

(写真=kenary820 /Shutterstock)

はじめに

タイトルに記載されている言葉の意味や違いがわかるでしょうか?
普段から仕事で経理・財務を行っている方や専門職の方なら、このような言葉を意識的に使い分けていることと思います。しかし、大半の方は、なんとなく使っている、あるいは聞いたことがある程度ではないでしょうか。
これらの言葉の違いは、会計と税務の違いから生まれています。会計と税務は1年間でいくらもうけを出すことができたか、を考えることは共通しています。ただ、「もうけ」を出す際の考え方、あるいは「もうけ」そのものの考え方に違いがあります。この考え方の違いを理解することは、経営者にとって重要となります。
今回はこの会計と税務の違いについて見ていきたいと思います。

会計のもうけはどう考えるか

会計上のもうけは「利益」と呼ばれます。この利益は、会計特有の会計基準にしたがって計算されます。会計の計算目的は、投資家に対して経営成績や財政状態を報告し、株主に対して剰余金(これまでの儲けの累積)の分配額(いわゆる配当)を算定することを目的としています。
会計上の儲けは以下の式により算定されます。


税務のもうけはどう考えるか

税務上のもうけは「所得」と呼ばれます。この所得は、税法特有の基準にしたがって計算されます。税務の計算目的は、税額を算出する際の税率を乗じる対象(課税所得)を算定し、適正に課税することを目的としています。
税務上の儲けは以下の式により算定されます。


利益と所得の関係

会計と税務の式は、言葉が違います。しかし、両者とも1年間で稼ぎ出した金額から、稼ぎに要したコストを控除している点は共通しています。
ここで、経営活動の結果を適切に把握したいと考えるなら、参考とする指標は「利益(会計上の儲け)」です。基本的には、1年間の経営で発生した売上(収益)や経費(費用)がそのまま反映されるためです。
一方、所得(税務上の儲け)の計算は、課税の公平、適正な税負担の調整、国の政策の配慮等により、利益(会計上の儲け)に調整が加わります。すなわち、それぞれの儲けを算定する際の要素となる、収益と益金、費用と損金それぞれの考え方に違いがあります。それぞれの関係は以下のようになります。


たとえば、費用が損金と認められない(課税所得は減らず、利益の方が大きくなる)、収益でないものが益金とされる(課税所得のみが増え、利益の方が小さくなる)ことがあります。
身近な例だと、交際費や福利厚生費が、会計上は費やしたお金である以上費用とされても、税務上は課税の公平の観点等から損金と認められないということが起こります。

節税を考えるなら

節税を考えたい経営者の方は、売上が多く上がれば税金が多く発生すると考えて、経費(費用)をたくさん使おうと考えるかもしれません。しかし、ここで、会計上で費用となる費やしたお金が、税務上でも同様に損金として認められるとは限りません。したがって、取引ごとに税務上の取り扱いがどうなるかを意識する必要があります。
この会計と税務の違いを、パターン分けすると、以下の4つになります。


上記4つのうち、節税を意識するなら、結果的に課税所得より利益の方が大きくなる②③のケースはそれほど注意しなくてもいいかもしれません。一方で、①④の場合、利益だけを見ていると課税所得が想定以上に大きく、税金の支払いが多くなることがあるので注意が必要です。中でも④は、先ほど紹介した交際費をはじめ、寄付金の額に限度額がある場合や役員報酬の支払額が損金として認められない場合など、比較的どこの会社でも起こりそうな取引について、その取り扱いを税法は別途規定を設けているので特に注意が必要と考えられます。

なお、この会計と税務の「もうけ」の違いを調整した書類が事業年度の終わりに提出する税務申告書です。いろいろと難しく記載があるように見えますが、結局はこの違いを計算するための添付資料を一定の形式に従ってまとめているにすぎません。

最後に

ここまで見てきた通り、経費のレシートがあれば、あるいは役員報酬をただただ増やせば、全て税務上の損金となるわけではありません。会計上の利益を考えることは、経営実態を把握するうえで重要です。一方、利益により税額が決定するわけではないので、利益だけを見て納税額を想定していると、資金繰りに影響を及ぼす支出が発生する可能性もあります。
したがって、会計と税務それぞれの内容や違いを意識して、会社経営を行っていくことが重要となります。

南青山リーダーズ株式会社 編集部