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自社株式の評価の仕方ご存知ですか?

(写真=REDPIXEL.PL /Shutterstock)

1. 自社株式の評価の基本的考え方

自社株式とは、同族会社のオーナー社長やその一族が所有する株式のことをいいます。取引相場のある上場株式は、取引所の株価という客観的な数字で株価を評価することができますが、中小企業のような上場していない会社の株価を評価する場合、客観的な数値がありません。

では、この自社株式は一体どのように評価するのでしょうか。
これは、国税庁が公表している「財産評価基本通達」の「取引相場のない株式等の評価」に基づいて評価することになります。

よって、非上場株式の評価方法を定める財産評価基本通達では、取引相場のない非上場株式を規模に応じて大会社・中会社・小会社に区分し、区分に応じてそれぞれに即した評価方式を定めています。

また、非上場株式を贈与や相続で取得した株主が同族株主かそれ以外の株主かによっても評価方法が異なります。すなわち、同族会社の株式の評価は原則として会社の業績や資産の内容を株価に反映させる原則的評価方法の類似業種比準方式または純資産価額方式であり、この2つの併用方式となります。他方、同族株主以外の少数株主の場合は、ほとんど配当を受ける権利のみの株主であるため、会社の配当金額によって株価が計算される配当還元価額方式によることになります。



なお、評価対象会社が保有している資産の大半が株式・土地等などの特定の評価会社に該当する場合にも個別にその評価方法が定められています。

① 類似業種比準価額方式

(注1)課税時期以前3ヶ月の各月の平均株価のうち最も低い株価による。ただし、納税義務者の選択により、類似業種の前年の平均株価又は課税時期以前2年間の平均株価を採用することができる。
(注2)大会社の場合は、0.7、中会社の場合は0.6、小会社の場合は0.5

② 純資産価額方式


2. 取引相場のない株式の評価方法

非上場株式は会社の規模(従業員、総資産価額及び取引金額の3つの基準)に応じて、「大会社」「中会社」「小会社」に区分されます。会社規模の区分に応じた評価方式は下記の通りとなります。

ポイント

  • 上場会社並みの大会社は、原則として、会社の業績に着目する類似業種比準価額方式で評価する。
  • 個人事業と変わらない小会社は、原則として、会社の資産価値に着目する純資産法式によって評価する。
  • 大会社と小会社の中間にある中会社の株式は、大会社と小会社の評価方法の併用方式で評価する。併用割合は会社規模によって異なる。
  • 会社の資産保有状況や営業の状況が特異である会社の株式は、「特定の評価会社の株式」として、どのような会社規模であっても原則として純資産価額方式によって評価する。


3. 類似業種株価を引き下げる方法

類似業種の株価は、上記の計算式のとおり、業種、一株あたりの配当金額、一株あたりの利益金額、一株あたりの簿価純資産価額により決定されます。
そのため、自社の配当金、利益金額、簿価純資産価額は、低ければ低いほど、株価の評価は下がることとなります。

① 配当金を引き下げる
配当金を引き下げる又は無配にすることにより、株価引き下げが可能となります。

② 利益金額を引き下げる
利益を引き下げることにより、株価引き下げが可能となります。

③ 簿価純資産を引き下げる
簿価純資産を引き下げるために有効な方法は、含み損の出ている資産の売却や、不良債権の貸倒の実施です。これにより、簿価で評価されている資産が、売却や貸倒により減少し、結果として株価の引き下げに繋がります。


4. 純資産株価を引き下げる方法

純資産価額方式における株価は、相続税評価を行った純資産と、発行済み株式数によって決定されます。

① 相続税評価を行った純資産を減らす
土地や有価証券の含み益がある場合、これらの資産の相続税評価を下げることが株価引き下げに繋がります。

② 株式数を増やす
純資産株価については、相続税評価を行った純資産の金額を発行済株式数で割ることにより計算されるため、株式数が増加すると株価の引き下げに繋がります。
ただし、株式数を増やすために、第三者割当増資を行う場合には、発行価額によっては、みなし配当等が発生する可能性があるため留意が必要です。


5. まとめ

自社株式の評価は様々な局面で必要となり、自社の現在価値を把握する上でも重要な指標となります。いずれ必ず自社株の譲渡や贈与・相続に直面することになりますので、早めの事業承継対策の一環として自社株式の算定を行ってみるのはいかがでしょうか。

南青山リーダーズ株式会社 編集部

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